水温調節でサンゴの人為的産卵に成功

2018年1月19日

造成サンゴの一種スギノキミドリイシ

 海洋生物環境研究所(香川謙二理事長)は17日、「水温調節を用いて人為的に造成サンゴを成熟・産卵させることに成功した」と報告した。海生研は2012年から産業技術総合研究所と共同で海洋の酸性化や温暖化について研究しており、実験に用いるサンゴを長期飼育する一環として取り組まれた。

 用いたのは一般的なサンゴの一種・スギノキミドリイシで、天然の状況では年に1回産卵(有性生殖)する。実験では約4か月かけて飼育水温を低下・上昇させたあとに成熟卵を確認、新月の夜に一斉産卵した。香川理事長は「無成熟状態から産卵させたのは、初のケースではないか」と述べた。

 造成サンゴの再生は、天然海域からサンゴ断片を採取し、移植して成長させる無性生殖法が一般的だ。しかし、遺伝的攪乱や天然サンゴ自体が損傷する恐れもある。そのため、香川理事長は「各地で行われるサンゴの再生活動にも貢献できるのでは」と、研究の波及効果に期待を込めた。[....]