植物で魚病ワクチン作出

2021年8月24日

水産用経口ワクチン植物の製造イメージ

 茨城大学農学部の中平洋一准教授ら研究チームは、魚病ウイルス由来の抗原タンパク質を大量生産する遺伝子組み換え植物の作出に成功。魚の餌に混ぜ与えた実験で、市販の水産用注射型ワクチンと同等の免疫機能を確認した。この「水産用経口ワクチン植物」は安価に製造できるうえ、1尾ずつ接種する手間もない低コスト・省力・高免疫原性を兼ね備える。

 研究チームのこの成果は23日に、学術雑誌「フロンティアーズ・イン・プラント・サイエンス」に掲載された。

 “ワクチン植物”の開発には、葉緑体工学による植物遺伝子組み換え技術が用いられた。発現させるのは、ウイルスの遺伝子を囲むタンパク質の殻だけ。ウイルスと同様の形状だが、遺伝情報は含まず感染性がない。同研究ではハタ類で被害の大きいウイルス性神経壊死症(VNN)の原因ウイルス由来の外殻タンパク質を、葉緑体の遺伝子組み換えを適用できるタバコに作出させた。[....]