映画「浦安魚市場のこと」歌川監督インタビュー

2022年12月6日

映画ポスターと歌川監督

 2019年3月末に閉場した千葉・浦安魚市場の最後の1年を記録したドキュメンタリー映画「浦安魚市場のこと」が、17日から東京・渋谷シアター・イメージフォーラムほか全国で順次公開される。同市場は東京ディズニーランドで知られる浦安が、かつては漁師町だった歴史を伝え続けてきたが、店舗数の減少が著しく、老朽化した建物を再建できなかった。歌川達人監督にこの魚市場の終焉(えん)を映像に残した理由を聞いた。(黒岩)

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 ??なぜ、浦安魚市場を撮影の対象に選んだのですか。

 歌川監督 1953年の創業の背景や、閉場の理由などを深く知るよりも先に、「この場所が魅力的だから撮りたい」と思ったのが本音。魚の売り買いという要素とは別に、人との関係が強い。ここにしかない?場の力?を強く感じた。

 ??ただし、さまざまな理由でその?場?は消えてしまいました。

 歌川監督 なくなっていくものは個性の強い傾向にあり、そのため多様性が失われてしまっていることは残念だ。経済効率が悪いものを成立させるのが難しい時代。ただそれは、水産業や浦安市のことだけではない。全国どのジャンルにも共通すること。

 市場の閉場後、編集作業を続ける間に世界が新型コロナウイルス禍へ突入した。多くの方々が、好きだったお店や施設の閉店・閉鎖を身近に感じたはずだ。「ずっとあると思っていたものが、ある日突然消えてしまった」。その点で、市場や浦安と接点がない人にも共感していただけると思う。[....]