改正漁業法が成立、資源・成長両立へ70年ぶり抜本改革

2018年12月11日

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「改正漁業法のポイント」と「改正水協法のポイント」

 「漁業法等の一部を改正する等の法律」(以下、改正漁業法)が8日未明、第197回臨時国会の参院本会議で賛成多数で可決、成立した。安倍晋三首相が「70年ぶりの抜本改革」と称した一連の水産改革法は、適切な資源管理と水産業の成長産業化の両立の実現に向け、改正水産業協同組合法の一部を除き、成立から30日以内に公布、公布から2年以内に施行される。
 水産改革法は、水産資源の減少傾向や漁業者数の減少に加え、変化に対応できる環境づくりを目指している。吉川貴盛農林水産大臣は「漁業生産力の発展と水産資源の持続的な利用を確保し、水面の総合利用を図る」などを改正理由として説明した。特に改正漁業法には、海洋生物資源保存管理法(TAC法)が統合され大幅な改正を実施。第1条の目的は、これまでの「漁業の民主化を図る」文言が「目的を達した」(水産庁)として削除され、「資源の持続的利用を確保しながら水面を総合利用し、漁業生産力の発展を目指す」と位置付けた。水産資源の保存および管理が第2章に盛り込まれ、科学的根拠に基づいた目標設定をし、資源の維持回復を図る新たな資源管理システムの構築を明記した。
 漁船漁業については、漁船規模に関する規制を廃し漁業許可制度の見直しも実施。日本周辺の海面利用の総合利用強化に向けては、法定されていた漁業権の優先順位を廃止する一方、「適切かつ有効」に漁場を活用する既存の漁業者には優先的に免許することを法定し柔軟に免許できる制度に見直した。[....]