捕鯨特集/年末の伝統文化クジラ汁、山村捕鯨協会長

2017年12月13日

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クジラ料理で温まろうと話す山村会長

 新年を迎える準備として行われる歳末の大掃除。江戸時代には12月13日がすす払いの日と定められ、寒い冬の一日、重労働を終えたあとには体が芯から温まる「くじら汁」を食べて疲れを癒やしたとされている。伝統のクジラ汁について、山村和夫日本捕鯨協会会長に話を聞いた。

日本人がクジラを食用にしてきた歴史は長い。1482年に出た料理本「四条流庖丁書」には、鯨肉がある時はコイやタイより先に出すのが作法との記述があり、当時すでに鯨肉が公家や武家社会の宴席に供される高級食材としての地位を得ていたことが分かる。

 紀州太地で網取式捕鯨法が開発されたのは1675年。広く庶民の間で利用されるようになった。

 江戸のクジラ製品は紀州物、土佐物、西海(長崎)物と産地ごとに区別して流通していたようだが、お伊勢参りの勧誘を兼ねた伊勢商人が持ち込む製品は「伊勢くじら」と呼ばれ、珍重された。鯨汁は浅草の「駒形どぜう」が祖であるといわれ、小さな魚のドジョウ料理屋でクジラ料理を提供した。 

12月13日は、すす払いが町一斉に行われたが、そのあとに塩蔵本皮を活用したクジラ汁を皆で食べる習慣が根付いた。年末に行うすす払いで冷えた体を温めるためにクジラ汁を食べたようだ。[....]