捕鯨問題通じて文化多様性考える、一橋大でパネル討論

2017年10月2日

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「国は情報戦略を」と語る佐々木監督

 一橋大学大学院社会学研究科主催の「グローバル社会の正義と文化多様性?捕鯨問題を事例として」が9月27日、東京・国立市の同大学で開かれ、森下丈二国際捕鯨委員会(IWC)日本政府代表の基調講演、「捕鯨問題を開く」と題したパネルディスカッションと米ニューヨーク在住の佐々木芽生(めぐみ)監督作の最新映画「おクジラさま」の上映が行われた。
 赤嶺淳同研究科教授を司会に行われたパネルディスカッションは、佐々木監督、高屋繁樹水産庁国際課捕鯨室長、坂元茂樹同志社大教授、庄司義則外房捕鯨社長、井田徹治共同通信編集委員、大久保彩子東海大准教授、ニコラス・ゼルハイム日本学術振興会特別研究員らが意見を交わした。
 坂元教授は国際法の観点から「捕鯨問題の背後にあるのは文化多様性の問題。反捕鯨国にはこの視点が欠落している」と指摘。ゼルハイム特別研究員はカナダのアザラシ漁を取り上げ、「漁は生活手段で歴史の中で培われたアイデンティティー。禁止になれば若年層の地域流出も免れない」と語った。
 佐々木監督は「映画は正義がテーマ。多様な価値観の中でそれぞれが正しいと思っている。資源を守っていくという共通の目標に向かって大きな視点で物事を進めていくことが必要」と指摘した。[....]