島根県まき網付加価値向上へ高鮮度加工開発、缶詰復活も

2018年2月27日

 島根県水産技術センターは、同県浜田漁港に水揚げされるまき網漁船の漁獲物の付加価値向上を目指し、加工業者や漁業者とともに科学的な知見の共有と合わせて高鮮度の加工品開発に取り組んでいる。すでに高鮮度魚を用いた缶詰商品は販売を始めており、だし商品も近く販売を開始する予定だ。

 浜田漁港は、まき網の2船団が基地港で1?2時間以内の近い海域が漁場となっている。漁獲物は速やかに運搬船の魚槽に投入されることで高鮮度を維持。鮮度落ちの早い小型マサバも指標となるK値は周年で3%程度と高い水準を記録する。しかし多くは餌料など非食用向けとして流通しているのが実情のため、同センターは2015年度から「非食用向けアジ・サバ類若齢魚の高品質食品化技術の開発事業」を開始。研究を続けてきた。

 漁獲物は水揚後完全硬直する時点でうま味成分のイノシン酸の含有量はピークに達する。これを80度C以上で加熱すると分解酵素の働きが止まり、うま味成分を多く含んだまま維持される。この特徴を生かして、調味料や缶詰などを試作、商品化を支援してきた。

 浜田の加工業者は缶詰生産設備を新たに導入。相手先ブランドによる生産(OEM)でノドグロ缶詰を製造し自社製品の開発も進め商品化も実現。同地区で25年ぶりとなる生産に取り組んでいる。[....]