2015年8月7日
漁協女性部が普及を進める、人と環境、そして魚にやさしいJF全漁連ブランド「わかしお」石けんの利用実績の伸び悩みが始まって久しい。
女性部員の減少もあるが、環境保護への意識が若手部員を中心に希薄になった点に原因を求める声もある。
しかし、講習会などを通じ、しっかりと石けんの使い方や使う意味を皆で学べば、利用率は高められる。西日本一の「わかしお」県・佐賀の取り組みを例に紹介する。
佐賀県は、北は日本海の玄界灘、南は日本一のノリ養殖生産地の有明海と、特徴が大きく異なる2つの海に面している。県下の漁協は、それぞれ海ごとに北と南一つずつに集約されている。JF佐賀げんかいと、JF佐賀有明海がそれだ。ただ、県下26の女性部(部員数1733人)は、JF佐賀女性連(西村陽子会長)の一組織として、ともに活動している。
玄海地区は漁船漁業中心。有明地区はほぼノリ養殖専業と職種が違う。そのことによる意見の食い違いはあるが、佐賀県女性連としての活動は活発だ。特に、ここ数年は近年になく増えている。その代表的な例が「わかしお」製造元のヱスケー石鹸の担当者を招いた、石けん講習会の開催だろう。
JF全漁連では、「わかしお」石けんの普及取り組み開始から40年となる平成27年度を前に、その前年度から「石けん講習会」開催を推奨してきた。だが、佐賀県女性連では、その通達が出される前の25年度末の段階で、石けん講習会の全県展開を早々に決めていた。
事務局を務めるJF佐賀信漁連の林恵美さんは、「以前から県女性連では石けんの普及推進を行っていたが、(各地で漁業者の世代交代が進み)『わかしお』石けんの使い方が分からないという声が大きくなっていた」と振り返る。やるからには、石けんの使用が習慣化するよう、しっかり身に付く講習会でなければ意味がない。
そこで「各女性部から要望を聞き、石けんの使い方中心の実演講習会形式とした」。佐賀、特に有明地区の場合、質の高いノリができる養殖に適した大事な海環境を守るため、海を害する合成洗剤ではなく、天然石けんを使わなければならないという意識は変わらず強い。
しかし、実際に使用する段階で、合成洗剤と同様の使い方をすると、石けんカスの発生やヌメリが残るなどして、不便を感じる人が一部に出て、石けんの普及活動の妨げになっていた。
今回の講習会においては、「わかしお」漂白剤を使った湯のみの茶渋取りや、洗濯時の「わかしお」漂白剤の賢い使い方、粉石けんを使った油汚れの取り方を、実演しながらアドバイスした。石けん普及活動の歴史や環境への影響などもひと通り学んだが、「わかしお」石けんを使う際の悩み相談により重点を置いた。
実演講習会は、26年度には11の女性部で行われ、27年度も7月末までに7女性部で終えた(表参照)。実施していない女性部のほとんども年度内に実施する見込みで、県下のほぼすべての女性部を2年で一周する。
佐賀県は全国では岩手県に次ぐ第2位、西日本ではトップの利用実績だが、「実演講習会を大々的に展開したことで、27年度は前年度からのさらなる増加が見込める」という。
講師で現地をたびたび訪れているヱスケー石鹸営業の鈴木浩二氏も「講習会での反応がいい。利用実績に着実につながっている」と、佐賀の伝わる講習会の効果に驚いている。
JF佐賀女性連が隔年で開いている「第43回佐賀県漁協女性部大会」が7月中旬、佐賀県武雄市の武雄市文化会館で約900人が参加して行われた。「夢と未来のある漁協女性部」を目指すとの大会宣言を採択して大盛況で閉幕したこのイベントで、持ち帰りの記念品として大人女子の美容歯磨き「ロージーミントハミガキ」(お試し用)が全員に配布された。
「ロージーミントハミガキ」は、平成27年度から「わかしお」ラインアップに加わった新顔商品。一般的に歯磨き粉の成分にある合成界面活性剤は生物に害をもたらすもの。しかし、ほかの「わかしお」と同じく、植物に由来する成分を使っている「ロージーミントハミガキ」は体にやさしい。
石けんと同様の高い洗浄力で、汚れを浮かせて落とし、歯を白く保つ。歯垢(こう)を除去し、口臭を防ぐ。洗い上がり後はほのかなバラの香りを口内に残す。「わかしお」ラインアップには珍しく、美容をクローズアップした一品だ。環境保護に対する意識が薄い若い女性でも「わかしお」を使い始めるきっかけになれる。今後の活躍が期待されている。
◆佐賀県における石けん講習会に関する熱心さには目をみはります。
西村会長/改めて全県で講習会を展開する前から、「わかしお」普及に関するビデオを用意していたり、「わかしお」を使う空気がしっかり部内でできていたりした地域はありました。ただ、部ごとの動きに強弱があったんです。そこで今回、主に最近入ってきた若い部員さんへの啓発を目的に、講習会を県として実施することにしました。
◆講習会を通じて伝えたい、「わかしお」の長所はどこでしょうか。
西村会長/有明海で作業するときに付く干潟の泥が、「わかしお」を使うと、いちばんよく落ちるんですよ。母の代から言われていました。人工繊維が増えた今はそういう声も減りましたけど、今も洗浄力では勝るでしょう。最近も、女性部の若いお母さん方から、学校の上履きだとか靴下、お風呂のタイルなど、しつこい汚れ落としには非常に好評ですよ。
◆愛用する「わかしお」のお勧め使用法があったら教えてください。
西村会長/蛍光増白剤で繊維を白く塗り、洗い上がりを白く見せる合成洗剤との比較がよくいわれますが、「わかしお」シリーズでも洗たく用粉石けんと「わかしお」漂白剤を半々に入れて使うと、非常に洗い上がりが白く美しく見えます。一度試してみてください。
台所用「わかしお」洗剤では、汚れはしっかり落ちていても、ガラス食器などでは見た目の透明感のなさが気になることが多いようです。これには、「わかしお」クレンザーを代用すると解消できることがありますよ。
あと、これは夫や息子の感想なのですが、「わかしお」ボディーソープは、合成洗剤のボディーソープと比べ、洗
い上がりがサッパリしていていいようです。男性特有の脂と相性がいいのでしょうか。その辺りは女性からは分かり
ませんけど。
◆講習会開催が、県下をほぼ一周します。今後はどうしますか。
西村会長/ここ2年のようにはできなくても、定期的な講習会はしていきたいですね。部の総会や大会などの機会を効率的に使いながら、新しく漁業の世界に入ってくる若い世代に「わかしお」を伝えていきたいです。
平成27年度は「わかしお」石けんの普及推進活動の取り組みが始まって、ちょうど40年の節目に当たる。それを記念し、「わかしお」販売元のJF全漁連と、製造元のヱスケー石鹸(倉橋公二代表取締役)は現在、日頃の感謝を込めて、「わかしお40周年キャンペーン」を、来年3月末までの予定で展開している。
「わかしお」普及で長年、重要な役割を果たしてきた各都道府県の漁連、漁協、女性部に対する特別サービスがその中心。送料が無料となる最低の発注数量を通常の5から3に引き下げた「小ロット配送キャンペーン」が、その柱となっている。
取りまとめ役として活躍している全国の漁連、漁協、女性部が、より発注しやすい環境を整えることで、「わかしお」普及活動を援護射撃する。
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