[932]国際捕鯨員会(IWC)第64回年次会合の結果について

2012年8月27日

  1. 1.はじめに
    国際捕鯨委員会(IWC)は、鯨類資源の保存および持続的な利用を目的とする国際機関です。今年のIWC年次会合は、この7月2日から7月6日まで、パナマシティー(パナマ共和国)において開催されました。今回の年次会合には加盟国89カ国のうち66カ国が参加しています。
  2. 2.主な結果
    1. (1)今次会合では、マイニーニ・スイス連邦IWC政府代表が暫定議長を務めました。会合最終日に、コンプトン・セントルシアIWC政府代表が議長に、シュメイ・ベルギーIWC政府代表が副議長に、それぞれ選出されました。
    2. (2)ブラジル、アルゼンチンなどが共同提案した南大西洋サンクチュアリー設置提案(南大西洋を保護区域とし、一切の商業捕鯨を禁止するもの)は、採択に必要な4分の3の賛成が得られず、否決されました。(賛成38、反対21、棄権2)
    3. (3)先住民生存捕鯨について
      1. (ア)米国、ロシア、セントビンセントの3カ国共同提案(※1)(1年当たりの捕獲枠は従来と同じ)が可決されました。(賛成48、反対10、棄権2)

        (※1) 2013年から18年までの6年間の捕獲枠として、ホッキョククジラ336頭、コククジラ744頭、ザトウクジラ24頭
      2. (イ)一方、デンマーク(グリーンランド)提案(※2)(一部鯨種の捕獲枠を増枠)は、反捕鯨国の反対により否決され、デンマークの捕獲枠は設定されませんでした。(賛成25、反対34、棄権3)
        (※2) 2013年から18年までの各年の捕獲枠として、ナガスクジラ19頭、ミンククジラ190頭、ホッキョククジラ2頭、ザトウクジラ10頭(従来と比較して、ナガスクジラ3頭、ザトウクジラ1頭の増枠)
    4. (4)社会経済的影響と小型捕鯨
      我が国から、我が国の沿岸小型捕鯨は、先住民生存捕鯨と同様の性格を有するとして、ミンククジラの捕獲枠の設定を要求しましたが、反捕鯨国からの反対意見が多く、採択の見込みが立たなかったことから、採決を求めませんでした。
       
      また、我が国から、沿岸小型捕鯨に関する問題を解決するための特別作業部会の設置提案を提出し、コンセンサスでの採択を求めましたが、一部の国の反対により、採択に至りませんでした。
       
      最終的に、我が国が関係国と相談し、次回会合で再度提案を行う旨が議長報告書に明記されることになりました。
    5. (5)海上の安全
      我が国から、シー・シェパード(SS)による我が国の鯨類捕獲調査に対する妨害行為について、映像を用いたプレゼンテーションを行い、関係国が実効的な措置講じるよう、強く要請しました。これに対し、多くの国から、SSの妨害行為を非難する意見が出されました。
    6. (6)IWCの将来
      IWCの年次会合(本会合)を隔年開催(2年に1回開催、科学委員会については毎年開催)とすることが合意され、関連する手続規則・財政規則の改正が採択されました。なお、「IWCの将来」に関し、具体的な作業プロセスの議論に進展はなかったものの、対話と協力は継続することとなりました。
    7. (6)その他
      韓国から、自国水域内での鯨類捕獲調査計画を来年のIWC科学委員会に提出予定である旨の発言がありました
  3. 3.次回会合
    次回のIWC本会合は、平成26年に開催されることになりました。(場所未定)なお、IWC科学委員会が、25年5月から6月にかけて、韓国で開催されることになりました。
  4. 4.その他
    会合の結果や会議文書については、IWC事務局のホームページでもご覧になれます(英語)。

(水産庁国際課)