同業6社協業のかなえ丸初出港、近海はえ縄存続へ一歩

2019年12月9日

大勢の市民に見送られ出航するかなえ丸

宮城県気仙沼市の近海マグロはえ縄漁業会社6社が協業化した気仙沼かなえ漁業?(鈴木一朗社長)の新造船・かなえ丸(149トン)が3日、地元市民に見送られながら母港・気仙沼を初出航した。

 気仙沼かなえ漁業は近海マグロはえ縄漁船の隻数減に歯止めをかけ、地域産業との関わりが強いサメ類やメカジキを安定供給するため、ライバル関係にあった6社の出資で設立された。所有船は全部で8隻だが、うち7隻が船齢20年超。そのため経営の協業化を図り、1社では困難な代船を共通船型・仕様でまずは3隻を建造する。かなえ丸はその1隻目。国の「もうかる漁業創設支援事業」を活用し、みらい造船で今年2月から着工、今年11月に完成した。建造費は約5億4800万円。

気仙沼港の岸壁で行われた出航式には、地元の水産関係者や市民約100人が参加。加藤貴大漁労長が「皆さんのおかげで素晴らしい船で出港できる。安全操業に努め、大漁満船で帰ってきたい」などと抱負を語った。船がゆっくりと岸を離れると、市民らは「おいしいメカジキ獲ってきてね」「気を付けていってらっしゃい」などと声を掛け、気仙沼の文字が入った旗や両手を大きく振って見送った。[....]