台風15号/東安房停電でアワビ死滅、千葉9億円被害

2019年9月25日

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生き残ったアワビを選別する川口蓄養場の渡辺靖浩場長(南房総市)

台風15号が直撃した千葉県では、外房地区の水産業が施設の破壊など直接的な被害に加え、長期間続いた停電による影響も大きい。JF東安房漁協(本所・南房総市、佐藤光男組合長)では、陸上で蓄養していたアワビやイセエビが大量に死滅した。特にアワビは今漁期最後の漁獲物で、高値での取引が見込まれていたという。

イセエビやアワビ、サザエなど磯根資源を蓄え、育てている川口蓄養場は、1週間の停電が続いた。その間、水槽の水循環ポンプやエアレーション、冷却装置が使用できず、約4トンあったイセエビの大半が死滅。サザエは全滅した。漁協の水揚金額で高い割合を占めるアワビは、5日に一般漁場で今期の漁を終え、輪採方式を取る造成漁場での漁期は15日まで残っていた。長谷川繁男事業部長によると、「11月まで、例年高値で売れる時期」ということから、十分な数量を残していたという。一部は保冷車などで凍結保存したが、半数に近い約600キロが死滅。「最悪のタイミング」と肩を落とす。

 隣接する鴨川市も、倒木の撤去などの作業が遅れ、停電に悩まされた。[....]