卸売市場法改正前夜?/来年抜本改正へ農業から大波

2017年8月25日

水産 卸売 市場で最大の築地市場。搬出ピークの午前5時ごろ

 水産流通の?幹?を担う卸売市場流通が岐路に立っている。昨年11月にTPP関連政策の一つで、農業者の所得向上を図る「農業競争力強化プログラム」が決定され、卸売市場制度の「抜本的な見直し」が来年早々にも行われる。連載「卸売市場法改正前夜」で核心に迫る。

 日本ではありふれた存在である卸売市場も、世界的にみれば稀(け)有な存在だ。中央卸売市場など公設市場は地方自治体が開設。地価の高い消費地の一等地を押さえ、これまた民間企業単独では投資が困難な、生鮮流通に必要な規模と機能をもつ施設を整備。それを市場業者に安く貸し出すことで、開設区域(基本的にその地方自治体の行政区域)の住民に安定的に生鮮食料品を供給させる。

 引き換えに複数の取引規制を課すことで、生鮮食料品の安定供給を維持してきた。例えば、卸売業者は産地から来る荷物を基本的には拒否できない。代金決済は数日のうちに行われる。市場の利用者は、産地も買出人も差別してはならず、大企業でも零細企業でも、同一の扱いをしなければならない。

 9?10月には、農林水産省が水面下で進める改正素案が業界関係者らに伝えられる予定。市場法が抱える構造問題を解決する目的でない改正がどのような影響を水産流通に与えるのか。[....]