働きやすい船に、岩手野田村で定置漁「カイゼン講習」

2017年10月4日

「カイゼン講習会」では、定置網漁船上での竹竿利用に改善案が講じられた

 岩手・野田村のJF野田村漁協自営定置網で働く漁業者らを対象にした「カイゼン講習会」(県北広域振興局主催)が9月29日、浜山丸番屋で開かれた。労働安全衛生が専門の久宗周二高崎経済大学教授が講師を務め、操業風景の映像を教材に解説。漁業者は安全操業への意識を高めた。

 海中から網や縄を引き上げるかぎ付きの竹竿を「もう少し短くできないか」と久宗教授が提案。長いほど遠くの網を寄せやすいが、狭い甲板上ではほかの人に当たりやすい。短すぎると手を伸ばす体が船外へ流れ、危険が増す。大謀(漁労長)の外舘久氏は横に振り回した竿がぶつかり、歯が折れたことがあるという。その経験から「竿は真っすぐ使え(垂直に引き上げろ)と指導している」と話す。自分たちの働く姿を映像で、客観的に見たことで「一回試してみよう」との意欲を示した。

 同定置網の乗組員は全員がライフジャケットとヘルメットを着用しており、より安全に作業するために「自分たちの船だからこそ、どうしたら働きやすい船になるか。自分たちで考えてほしかった」と、講習会の目的を語った。船型や漁場、働く人で異なる環境。皆で考えるきっかけに同手法を考案した。「講習後に作業中の気配りが変わってくる」(久宗教授)という。[....]