人/飯田統一郎㈱樋長社長、経営者の原点はジャンボマグロ

2019年12月19日

包丁を振るい生本マグロを捌く飯田さん(中央)=豊洲市場の店舗で

東京・豊洲市場の今年の新年初セリで青森・大間産の本マグロが史上最高値の一本単価3億3360万円でセリ落とされ話題となった。一方、米ボストンやカナダが主産地のもう一つの本マグロ、大西洋クロマグロでキロ2万円のセリ値レコードを保持するマグロ専門仲卸がいる。「樋長(ひちょう)」の8代目社長だ。

 北米から成田空港を経由して空輸で搬入されるため、輸入天然本マグロに付いた愛称が貨物機のジャンボジェットにちなんで「ジャンボ」。近年、国産人気の過熱に反比例する形で評価を落としていたこの「ジャンボ」に、改めて向き合うことを決めたのは8年前のことだった。2009年に社長に就くと同時に花形の本マグロ・インドマグロの買い付けをするようになってしばらく、自身の商売が「とっちらかって迷って、自分で訳が分からなくなっていた」という。

 先代が築き上げた「発色がよく色持ちのよいマグロを多く揃えるのが樋長」という店のカラーに疑問を感じていた。「お客さま視点に立たなければこの先の成長はない」。現状の殻を破るには、200軒を超える「同業者の誰にも負けない一番をつくる」ことと考え、選択したのが「ジャンボ」だった。[....]