世界の漁獲今世紀末で24%減、IPCCが報告書

2019年9月27日

 世界の科学者による国連の気候変動に関する政府間パネル(IPCC)は25日、地球温暖化による海洋環境の変化について報告書をまとめた。温暖化による海水温の上昇に加え、南極やグリーンランドの氷の融解が早まり、今世紀末までに最大1・1メートル海面が上昇すると指摘。漁業の最大漁獲量は、今世紀末までに1986?2005年と比較して最大24・1%減少すると予測した。

 報告書は今月20日からモナコで開かれた総会で承認され、気候の温暖化が進む中で海洋にどのような影響をもたらすか」「シミュレーションなどを交えてまとめている。

 漁業に注目してみると、温暖化の影響として、海洋の酸性化、酸素喪失の拡大、海氷面積の減少が生態系への影響を悪化させる可能性があると指摘。多くの海洋種の分布域も、1950年代以降に比べ10年ごとに高い確率で13キロから45キロ、最大だと85キロも極方向に移動しているとシミュレーションしている。

 そのうえで「一部の魚類資源の乱獲による影響を悪化させている」と報告。多くの地域では魚介類資源の減少が漁獲量の減少につながり、70年代以降の漁獲の構成の変化にも表れているとしている。[....]