メバチ・クライシス?/世界のはえ縄漁業に死活問題

2019年10月1日

 食卓に並ぶ鮮やかな赤身のマグロ。その多くはメバチである。長年、日本人にとっていちばん身近なマグロであり、刺身マグロ消費の中心的存在だ。しかし、その供給量は長期的に減少しており、各海域で資源減少の要因とされている大型まき網船の効果的な集魚装置(FADs)規制は進んでいない。メバチの減少は、将来のマグロ消費に大きな影を落とす。生産、流通、科学、行政から取材した。

 遠洋マグロはえ縄漁船147隻が所属する日かつ漁協。今年の年頭会見で、山下潤組合長は「メバチが獲れなくなっていることは、はえ縄の死活問題だ」と切り出した。大西洋クロマグロやミナミマグロが増枠されているとはいえ、大西洋クロマグロはわずか2週間、ミナミマグロは2か月もあれば漁獲枠を消化する。年間の大部分はメバチやキハダ狙いで操業しているのが実態だ。

 実際、同漁協の所属船全体でメバチは水揚数量の40%、水揚金額の50%を占めている。この分がなくなれば、漁業経営は成り立たない。はえ縄にとってメバチは経営の生命線だ。しかし供給量は2000年以前に22万?24万トンあった日本への供給量は、17年に約12万トンまで半減した。[....]