[1080]サンマ漁業のロシア水域における操業上の注意について

2019年8月22日

 今年も、サンマ漁業の出漁の時期を迎えました。漁業者の皆様におかれましては、今年もロシア水域での操業が予定されていることと思います。

 2019年のロシア連邦200海里水域における漁獲割当量などは、4月の第35回日ロ漁業委員会における交渉の結果、全体の漁獲割当量は7万8562.2トン(前年対比1万2500トン増)、棒受網漁業のサンマは5万9150トン(5780トン増)、スルメイカ616トン(366トン増)、さば1308.62トン(47.62トン増)、マイワシ1870.98トン(520.38トン増)と決定されました。

 今回の交渉より、カタクチイワシの漁獲量がマイワシまたはサバに含まれることとなりました。サンマの許可隻数枠は、前年と同様313隻です。トン数階層別では、30トン未満が185隻、30トンから50トンが25隻、50トンから100トンが15隻、100トンから350トンが88隻になっています。

 具体的な注意事項について申し上げます。皆様のご苦労とご努力により、年々違反件数は減少しております。しかし、ロシア水域操業においてロシア側の厳しい取締体制は変わらないと思われます。全さんまの作成した「さんま漁業操業のしるべ」および「付属書」を熟読していただき、操業日誌記載時の転記ミスなどケアレスミスに注意を払うようにお願いします。

 昨年より臨検時に違反があった場合、「権利・義務についての通知書」、「申立書」が作成されるようになりました。もし、違反があった場合はしるべ18?20?を参考に記入して下さい。前述しましたが、今年は混獲魚について、魚種として「カタクチイワシ」がなくなり、「マイワシ」または「サバ」に含むように変更されています。「カタクチイワシ」の混獲は「マイワシ」として計算するようにお願いいたします。

 操業日誌・SSD・入出域通報の欄には「カタクチイワシ」が残っておりますが、記入・入力をしないで下さい。皆様の努力により、SSD・入出域通報(公海への無害航行を含む)の送信については、スムーズな運用が行われるようになりました。

 昨年より、公海への無害航行の通報が、入出域通報と同じ8時間前となりました。運用はしやすくなりましたが、ロシアの境界線を越えるまでに、必ずどちらかを変更または取消しをするようにお願いいたします。入出域通報と公海の通報を間違って取り消すミスが起きております。十分に注意をしてください。

 また、今年から通報がウラジオストック・カムチャッカRTSMに送信するようになります。システムで対応しておりますが覚えておいて下さい。入出域の臨検は今年も混雑が予想されます。入域船はチェックポイントの西側に、出域船はチェックポイントの東側に並んで、臨検を受けてください。

 チェックポイントでの監視船へのVHF16chの呼び出しは、しるべ29?のルールに則り、きちんと呼び出してください。

 船舶位置情報(VMS)の欠落の対処として、位置報告控えをつけていただいております。昨年、控えは6時間毎から2時間毎に変更されましたが、今年より元に戻り6時間毎となりました。これまで通りに記録をお願いいたします。昨年からデジタル式秤(証明書付)を積むことが義務付けになりましたが、今年より日本語証明書の他に、証明書のロシア語訳を船内に保持するようになりましたのでご注意ください。

 アナログ式秤(証明書付)は、ロシア語訳は必要ありません。今年はロシア国境警備局より、水・氷の魚倉に入れる手順を確認したいとの申し出がありました。操業中の臨検となりますので、漁業者への妨げにならないように特段の配慮を要請しておりますが、ご理解の上、ご協力をお願いいたします。

 漁期中に公海操業をする場合、NPFC条約水域で取締船からの検査があるかもしれません。しるべの137、138?を参考に乗船検査を受けてください。

 最後になりますが、皆様のロシア水域での無事故操業と豊漁を祈念しております。

(全国さんま棒受網漁業協同組合)