サツキマス4か月10倍成長、水産機構が優良種苗成功

2019年7月29日

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サツキマス閉鎖循環飼育のイメージ図

 水産研究・教育機構瀬戸内海区水産研究所は、海水飼育したサツキマス(淡水育ちでアマゴ)の優良個体を掛け合わせて誕生した種苗を飼育し、体重が4か月で10倍以上に成長させることに成功した。同研究所屋島庁舎が開発した閉鎖循環飼育システムにより、淡水・海水飼育を同一施設内で管理できた成果で、25日に水産機構が発表した。今後、海面養殖用の優良種苗の安定生産が期待される。

 開発した閉鎖循環システムは、閉鎖循環にすることで疾病を拡散させない。飼育水にはカルキ抜きをした水道水を用い原虫などの混入も防ぐ。そのため、海水由来の疾病を淡水域に広める恐れがない。

 そこで海水馴致後に好成長を遂げたサツキマスを親魚候補とし、2017年5月から陸上の淡水で逆馴致させて10月に採卵、ふ化仔魚を18年12月下旬まで淡水飼育したところ、産業レベルの密度で平均体重126グラムの種苗を確保した。水槽水を海水に変え4月下旬まで陸上で飼育を継続した結果、平均体重1311グラムのサツキマスに育った。「2キロを超す大型個体もあった」という。生残率が98%に達し、極端に小さな個体がない点も既存値を上回る成果だ。[....]