ゲノム編集魚生産ルール整備が急務、解禁先行に戸惑い

2019年10月10日

 厚生労働省が先月、ゲノム編集技術応用食品の取り扱い要領を公表し、消費者庁も表示を義務化しない方針を示すなどゲノム食品は流通に向け前進している。水産では「肉厚マダイ」ほか技術は先行しているが生産などの具体的なルールが確立されておらず、一般流通への見通しは立っていない。

 農林水産省は7月末、ゲノム編集生物の情報提供に関するパブリックコメントを実施、意見をまとめている。厚労省や消費者庁による食品への扱い方針が先行する一方で、生物多様性に影響を与えない飼育・養殖方法の管理など生産におけるルールは、いまだ準備に動き出した段階にすぎない。生産物が流通した例もなく、研究段階の施設から流通できる環境が整うまでの道のりは遠い。

 ゲノム編集技術を使った「肉厚マダイ」を研究する近畿大学の家戸敬太郎教授は「(生産面を含め)具体的なルールづくりが必須」と強調する。流通に関する問い合わせが寄せられるほど関心が高いだけに、ルールを整備し研究段階から生産段階に進むことへの期待は強い。 [....]