ウナギ在庫不足、試される提案力

2012年7月10日

長焼きと串焼きの定番提案

長焼きと串焼きの定番提案

水産業界の一大お祭りイベント、7月27日「土用丑の日」が近づいた。今年は日並びがよく、7月終盤に近いため、梅雨明け後の“猛暑”の土用丑の日 になる可能性が高い。また、本番が金曜で、直後に土曜・日曜と続き、量販店・スーパーにとっては3日連続で大規模な商戦を展開できる。流通・小売の手持ち は少なく、かつ規格の幅は狭いものの、今年を乗り切る道が見つかれば、今後を勝ち抜くヒントに直結することは間違いない。話題になっている異種ウナギをど う迎えるべきかを含め、業界の現状を分析し、主要各社の取り組みを紹介する。

3年連続で日本種のシラスウナギが大不漁という、過去にない事態に見舞われた今年は、ウナギの食文化の危機が声高に叫ばれてきた。台湾で昨年 11月、日本・中国で12月から始まったシラスウナギ新漁の状況が、今期も厳しいと次第に判明するに連れて、ジリ高だった活鰻および加工鰻相場は一気に上 昇。4月には最高値を付けた。

台頭してきた蒲焼真空パック

台頭してきた蒲焼真空パック

ただ、ウナギを使う蒲焼専門店や量販店・スーパーは、いくら商品の数がなくても、売れない価格では商売にならない。夏場のウナギ商戦の前哨戦である 春から初夏が大惨敗に終わったことで行われた価格調整や、小売勢の利幅調整などの努力で、ここにきて消費者が手の届く価格での提案が量販店・スーパーを中 心に目立ってきた。

日本種ウナギはもともと、シラスウナギ不漁に陥っても、国内には一定量の池入れが確保され、安定した生産を続けてきた。今冬はさすがに2万トンを育てるのに必要な稚魚20トンを確保できず、15トン前後に終わった。それでも、生産減は25%程度で踏みとどまりそうだ。

一方、日本のウナギ食文化の拡大を支えてきた中国・台湾の生産界は、日本種をほとんど池入れできず、この不足を補おうと、異種ウナギのまとまった池入れを行った。これが商戦に登場し、日本市場に受け入れられるとなれば、供給は増加に転じる可能性もある。 [....]