イカLED普及、問われる現場の応用力

2021年4月26日

調査船に装備されたLED漁灯(水研機構提供)

 水産研究・教育機構開発調査センターが2013年度から8年間をかけて実施した、イカ釣り船用LED漁灯の実用化に向けた調査が3月末で終了した。実際に操業する漁船を用いた調査でアカイカ漁は、省エネと漁獲増の両立を実証したが、スルメイカ漁は資源状況が厳しい環境下で効果が出づらいことも明らかになっている。ただ、脱炭素化への流れが加速する中、省エネ光源として効果がみられるLEDの普及は喫緊の課題であり、導入には副次的なメリットも組み合わせた現場の応用力が問われそうだ。

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 イカ釣り漁業は総燃油消費量の3?4割を漁灯が占めている。この光源を現在主流のメタルハライド(MH)から、電力消費量の低いLEDに替えることで、漁灯の発電用エンジンである補機の燃油消費量は、約43%削減されることが調査を通じて確認された。

 北太平洋海域でアカイカの漁獲量は、LED漁灯搭載船がMH漁灯船を1?2割上回った。航走に要する主機エンジンも含めた総燃油消費量は22%削減が実証され、十分な利益にもつながる。削減された燃油で漁場滞在日数を延ばせば、一航海当たりの漁獲量をさらに増やせる可能性も示唆された。[....]