<福島県の水産、この10年間/当時からの経営者に聞く㊤>いわき中水・小沼社長

2021年3月22日

いわき市中央卸売市場での早朝の販売

 2011年3月11日に起きた東日本大震災はマグニチュード9・0の巨大地震が引き起こした大津波と福島第一原発事故の複合災害だ。甚大な被害を受けた東北の被災3県のうち、いまだ終わりのみえない原発事故の影響が最も色濃い福島県では復旧・復興の道のりが遅れ、10年を過ぎてもあるべき姿の半ばにも達していない部分がある。震災発生当時から企業トップに立ち続けた、いわき市内の2人の経営者にこの10年を振り返ってもらった。

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 ■一変した集荷・販売先、地元産のカツオは1割

 10年という時間について「早かったなという思いと遅かったなという思いが交錯している」と語ったのは、いわき市中央卸売市場の水産卸・いわき中水の小沼幸誠社長。

 早かったというのは、世間に広がる東日本大震災の記憶の風化を意識してのこと。県外、そして海外の人々の記憶から急速に薄れている。ただ「震災がすでに過去のものとの認識は、この地で水産業に携わる人々の間にはない」と思いを吐露する。[....]