IWCPFC

2018年9月26日

 今はこんな国際機関はない。IWC(国際捕鯨委員会)とWCPFC(中西部太平洋まぐろ類委員会)を合体させ皮肉ったもの。先般福岡市で開催された後者の北小委員会では、資源が増えても「時期尚早」のひと言で漁獲量の増枠が認められなかったという。これではクジラさまと同じくクロマグロさまを獲らせないための組織として似ているので、そのうち統合されるかもと。

 少ないTAC、増える資源でTACが守られるのか心配である。というのは、この夏に三重県下の2つのマグロ養殖場が種苗のヨコワの搬入のため沿岸漁業者に呼び掛けたら、過去最速でまさに「あっ」という間に予定尾数が集まったから。これで3年連続卓越年級群が加入し、しかも今年はその中でも最大のよう。ここまで増えているのになぜ増枠が「時期尚早」なのか。その理由とは新たな資源評価でも「初期資源の3・3%」にとどまったからという。素人が聞けば「なに!3・3%、まるで絶滅寸前ではないか、増枠などとんでもない」となるのは必至。でも私の疑問は、その絶滅寸前の資源からなぜ3年連続の卓越群が加入してくるのか、まして親と子には相関関係がみられないというのに「初期資源の20%」を回復目標にする意味があるのかである。東京海洋大学の櫻本和美名誉教授は「MSY理論が正しくなければ、初期資源量は架空の概念というよりは誤った概念にすぎない」と述べられている。クジラを獲るな、は「かわいそう」で簡単明瞭だが、クロマグロでは素人受けする初期資源という誤った概念で獲らせないようにしていると感じる。というのは環境保護団体がやたら「初期資源のたった○%」と強調し乱獲やめよと攻撃しているから。

 ところが驚くべきことに、水産政策改革ではわが国にもこの危険な管理目標を「目標管理基準」として導入しようとしているようである。いくら資源が増えても「時期尚早」で済まされてはたまらない。