餅まきに関する勝手な一考察(後編)

2013年7月1日

 甫母で生涯にまく餅と配布するコメの合計は840?になる。これは日本人の1人当たり年間平均消費量(59?)の約14年分に当たる。これ以外のお菓子なども含めると、餅まきがもたらす経済効果はバカにならないと思う。皆さんは否定されるが、やはり餅まきには富の分散や金の循環などの意図せざる効果があり、それが地域行事として残ってきた理由と思わざるを得ない。

 日本経済が低迷する大きな原因は、自由貿易の促進と国内における競争激化であるが、国民が欲しいモノがほぼ手に入り、消費が伸びなくなったこともある。だから個人金融資産が1400兆円もある。ならば、欲しいものはなくてもお金を使わざるを得ないように「餅まき促進法」をつくろう。その実効性担保に罰則はいらない。「災いが降りかかることがあります」で十分。税金を1円も使わないで、個人単位でこんな内需拡大をもたらす施策はほかにない。アベノミクスで国債発行残高をさらに増大させたり、成長戦略と称する規制緩和で格差を拡大し、国民生活を一層困窮させる施策よりはるかによい。

 餅の拾い方にもルールがある。子供がいる場合は最前列、次は女性の列、最後に男性がそれを囲むように後方に陣取る。その枠内での位置取りは早い者勝ち。そして皆さん、餅を受けるための前掛けをし、立っては危険だからと行儀よく座り込む。しかし、いったん餅まきが始まると、ご高齢の皆さんも本能丸出しで実力の世界に。ここにも漁村社会の共生と競争のバランスがうまく保たれている。

 日本でいちばん餅まきが盛んなのは和歌山県らしい。観光客向けの餅まきまであるそうで、今なら「餅まき県」の商標登録が認められるかも。餅まきの楽しさやその経済効果から、ぜひ日本古来のこのよき伝統を全国で復活したい。東京の超高層マンションの屋上からの餅まきは、想像するだけで愉快である。しかし100?を超える高層から落ちてくる餅の衝撃度は半端でなく、ヘルメットは欠かせない。餅拾い用の防護服も売り出されるようになれば、さらなる経済効果も。甫母の皆さんからは相手にされない勝手な一考察でした。