青いダイヤ

2017年5月29日

 まさにこの名称がピッタリとなったのが、三重県が全国シェア6割を占める「青のり」。漁連共販では平均キロ1万円、最高値は1万6000円にもなった。乾燥重量とはいえ、浜値でキロ1万円を超えるものといえば、当地においてはクロアワビのごく一部ぐらいしか知らない。以前の3倍以上にもなったこの価格高騰の背景には一体何が。聞いてみると、直接的には2つの大手回転寿司チェーン店が競い合って買い求めたためらしい。目的は味噌汁に入れる食材であるが、東日本大震災で東北のワカメが激減し、その代用として使ってみたところ「味噌汁にはワカメ」に慣れ切っていたお客さんに意外と好評だったのがきっかけらしい。それと昨年の伊勢志摩サミットにおいてマスコミでよく報道されたこともブームに火をつけ、また以前からお菓子への香りづけとして需要が伸びてきていたこともあるようだ。

 実は、私の無知をさらしてしまうが「もうお好み焼き屋で青のりを好き放題にかけられませんね」と言ったところ「あれはアオサで青のりとは香りも価格も比較にならない」とのこと。分類と商品名の関係が複雑で簡単に説明できないが、アオサのことを青のりと称しているところもあるようだ。本物の「青のり」になじみの少なかった私のような庶民は、それを聞いて少し安心。

 ところで、価格上昇につれ生産量も増えてくるのかと思ったら、そう簡単にいかないようである。干潮時に干出した網が緑のじゅうたんのように見える養殖場の適地が限られていること。さらに高齢化による人手不足である。

 黒ノリ、ヒジキなどを含め今漁期の海藻類全般の価格上昇は本当にありがたい。かつて真珠と魚類養殖が盛んだった三重県下の入り江はそれが減り、漁船漁業も振るわなかった。そこに復活への青い希望の光が差してきた。鳥羽磯部漁協の販売高は過去最高を記録した。この流れを維持できればと思う。