週休3日

2017年5月12日

 答志島の冬は本当に風が強い。特に今年はシケばっかりだった気がする。刺網漁業は漁場が伊勢湾口に位置するため、もともと月2回の大潮の時には潮流が速すぎ「潮休み」となる。それが明けたと思うと低気圧が来てまた休み、ようやく出られると思うと今度は定例の休漁日(土曜)に当たって休み。そばから見ていると、休んでばっかりで「資源管理のやり過ぎっつーの、働け!」と冗談を言いたくなるほどである。今更であるが何があっても絶対に休む「定例休漁日」がよく導入できたと感心する。

 このようにお天道様次第の漁師からすると、忙しい時に漁協職員が決められた通りに休むのが気に入らない。「こんな日に漁協を閉めて漁師のことを考えていない」となる。私はそのような時「職員は基本的にサラリーマンで、皆さんが家で休んでいる時にも漁協に来て働いているので、そこは理解してやってください」という。

 一方、職員がまだ完全週休2日制になっていないと不満を言うこともあるが、その時には「あなたたちは漁師が一円も稼げず、漁協が暇な日にもちゃんと給料をもらっている、そこを忘れないように」という。これはどこの漁協でも同じで、お天道様次第の漁業では永遠の課題であろう。

 ところで、この世に「週休3日」の漁業があるのを知って驚いた。それは夏季の伊勢湾内のバッチ・船びき網漁業。答志では若い後継者が全船に乗っているものの、湾奥部の漁船は乗組員の高齢化が進み、暑い夏の間に3日連続して働くと体がもたないから全船統一的にそうなったらしい。

 大企業のサラリーマンも驚く「週休3日」。それでやっていけるのかと心配になるが、水揚金額は減っていない。これは閉鎖的な伊勢湾内の魚にいえることで、どこの地域のどんな漁業でも同じではないだろう。しかし、仮に全国の漁業者が週休3日になれば、資源管理など考えないで済む日がくるかもしれない。