手配師の悩み

2018年3月14日

 ワカメ作業の手伝いに来られた参加者を、どの漁家に割り振るかは私の仕事で「手配師」のようなもの。しかし、これはやってみて初めて分かることばかりで大変。昨年は「知らない人が来ると気を使う」と受け入れ希望がなかったので、支所役員の4漁家に押し付けたが、今年は一転し10漁家から手が上がった。しかし漁家ごとの人手にはそもそも2倍程度の差があり、また就学中の子供を抱えた家計支出が多い漁家と、すでに子供が自立した漁家との差もある。よってこれらを考慮し「困っている」漁家を優先することにし、事前に割振表で漁家に知らせることにした。
 
 ところが、実際の漁家の仕事はその日になって変わることが多く、割り振り先の漁家の作業岸壁に行くと誰もいない。刈り取り作業が遅れているのか、きょうはやめたのか判断がつかない。そこで急に別漁家に変更する。一日中手伝う予定なのに「午前で早めに作業が終わったので午後はどこを手伝いましょうか」とくる。急きょ別の漁家に連れて行けば「きょうはたまたま地元の手伝いも来てくれたのでもう十分」となる。その一方で「うちに来る人が来なかった」とクレームが。調べると参加者が間違って割振表と違う漁家を勝手に手伝っていたり。もーめちゃくちゃ。優先順位もへちまもあったものではない。

 参加者がいちばん悲しいことは手伝う先がないことなので、参加者が集中した日には割り振りが終わるとホッとする。昨年は楽だったが、今年は10漁家の作業状況を常に把握しておかねばならず、受け入れから出発まで同じ農家を手伝う農業方式がうらやましくなる。これも個と個が独立しつつも、同時に連携し合う漁業の宿命であり、手配師・力生の腕を上げるしかない。急増した漁家に対し参加者が少ないので「次の手伝はいつ来てもらえますか」と漁家の奥さんに聞かれるのがつらいが、これも年々継続することで徐々に解消できると期待している。