こんな生協は応援したい(後編)

2017年12月8日

 「国内食料優先確保制度」の構想は、以前から私の頭の中にあった。そのきっかけの一つは、鳥取県智頭町の「疎開保険」である。災害に遭っていちばん困るのが生活場所の確保で、その保険に加入すれば、疎開先として宿泊場所を提供してもらえるというもの。その1年間で災害がなければ、その保険金額相当の地元農産物でお返ししてもらえる。なかなかのアイデアである。

 もう一つは、私が漁連の監事として監査の時にみる取引先の中で生協グループが最大の得意先であること。消費者の量販店などを含めた購入先の比率に対し、明らかにそれが高いということは同じ協同組合として助けていただいているのではないかという感謝の気持ちがあり、いざという時には優先的に供給することがその恩返しと思っているから。漁連の関係者によると、「生活クラブ」は、生協の中にあっても特別らしく、一度信頼を得ると長く付き合っていただけると評価していた。

 平時において国内食料産業の生産物を購入する消費者は、非常時にそれを優先的に確保できる(生産者側には義務付ける)法案には、「高いものが買えない低所得者は飢え死にせよというのか」「食料を人質に国民を脅すのか」などとの批判があるだろう。しかし、それへの答えは「食料の全面自由化を主張する新自由主義者と、私たちの提案のどちらが国民を飢えから守ろうとしているのか」「このままだと食料は外国から買うしかなくなる」「その時に備え、別の選択肢を消費者に提示しているだけで強制するものでない」で十分と思う。

 鈴木教授は対談で、生産基準をつくりそれを生産者が守れば卵1個を80円でも買うという消費者とのネットワークをつくって量販店の安売りに負けない仕組みをつくり上げたスイスの事例を紹介されているが、食料自給率がより低い同じ山国の日本では、もっと過激なやり方が必要かと思う。