魚の重さを量る

2016年12月28日

 熊野でも今の答志でも、市場の中心的業務といえば「計量」である。ところが先般、伊良湖にある渥美魚市場を見て驚いた。魚の重さを全く計量しない「面(つら)買い」という入札方法だったのである。漁業とは本当に多様であるが、これは楽な方法だとも思った。

 魚の重さを量るくらい子供でもできると思われるかもしれないが、実は大変難しい作業であり、経験の浅い漁協の若手職員はやらせてもらえない。

 なぜなら、魚を量るとは、同時に「水」も量るからである。例えば、素人が市場で魚1キロを量り家に持って再計量すると1キロ未満となるといえば、理解されやすいと思う。

 計量において水の量をどうみるか、それは魚の大きさ、形状、一度に量る数や量の大小、活か野〆かでも違うらしい。日々のことであり、その判断次第で水揚金額に大きく影響してくることから、極めてデリケートな問題である。
 答志支所の中村幸平委員長が就任当初、仲買人から10㌔の魚を買って1㌔入りのパックが10個作れない「目切れ」は困るとのクレームを受け、より真の重さに近い計量方法への改善を始めた時に、組合員から「なんではかりの目盛りがゼロでなくマイナスから始まるのか」と文句を言われたそうである。

 この問題には統一的な対処方法はないようで、鳥羽磯部漁協の各支所間でも対応が異なっている。仲買人も長年の経験から、各支所の計量方法の違いを考慮した価格で入札する。

 ある時、中村委員長に組合員が、答志支所の魚の値段はいつもあの支所より安いと文句を言ってきたので「よし分かった、明日からはかりをあの支所と同じくもっとマイナスから始める」と答えたら、「それじゃ困る」と言ったとか(笑)。

 子供の頃、田舎の酒屋の店頭で仕事帰りの大人がうまそうに酒を飲んでいた。あの一升ビンからコップにトクトクと注がれた酒があふれて下の皿にこぼれるあの光景をなぜか思い出した。