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資源悪化という自然災害

2017年2月23日

 親魚資源確保のため20億尾を取り残す手法で、資源管理の優等生といわれた伊勢湾のイカナゴ漁が、2年続きで禁漁になりそうである。試験操業の結果が、昨年以上に悪かったらしい。

 さらに、熊野の冬のサンマ棒受網漁では、なんと水揚げが皆無である。年々減ってはいたが、ゼロは過去一度もなかった。

 この2魚種に共通するのは、漁業者だけでなく加工・小売業者なども含めた地域産業に大きな経済効果をもたらしていたこと。名物のサンマの丸干しも寿司もなくて熊野の観光はどうすればよいのか想像すらできない。

 私は水産庁で資源管理を担当したが、現場に身を置き本当に人間は資源を管理できるのだろうかという疑問をもつことが増えた。

 気象予報士という職業はあるが気象管理士はいない。もしいれば「雨乞い祈祷(とう)師か」と相手にされないが、その一方で「資源管理士」は堂々と存在するのである。

 そのためか、国民は台風・津波など自然災害が発生するのは人間が原因だということはあまりないが、資源悪化は人間の管理がなっていないからだということが多い。

 加えて私が不気味さを感じるのは、大変なことが起こっているのに、漁村では表面上何も変わったところがみられないこと。これが自然災害であれば、メディアを通じ、その映像が国民の目に触れ「大変なことが起こっている」と分かりやすい。

 資源悪化の要因がすべて自然のせいとまではいわないが、北海道の水揚げが大きく落ち込んでいる要因も、おそらく温暖化のためで、これは自然災害といってもよいと思う。

 イカナゴもサンマも漁獲ゼロは過去に例がないだけに、また増えると言い切れず、まさに天に祈るしかない。このような資源悪化には、既存の施策では対応ができず、自然災害対策並みの地域全体に対する支援策が必要になってくると思わざるを得ない。