地域に合った規制を

2015年12月21日

 小型底びき網漁船(エビ桁網漁業)の漁具を端から端まで、すべて目の前で見る機会があった。おそらく重りの役目をしているチェーンだけでも数百㌔はあると思われ、よくもまーこんな漁具を小さな漁船で引けるものだと感心した。

 資源管理上、漁船の大きさや馬力の制限は重要であり、特に小型底びき網漁業は法定知事許可漁業として、国の省令などで厳しく規制されている。私も水産庁で資源管理を行っていた時に「馬力を大きくすることはまかりならん」と言ってきた。しかし、答志での小型底びき網漁船の実情をこと細かに聞くと、そういう単純なものではなく、馬力規制の強化が漁業そのものを衰退させた場合もあることを知って深く考えさせられた。

 結論から先にいえば、漁業規制とは地域の事情によって多方面から検討すべきものであり、一律であってはならないということ。最も分かりやすい事例でいうと、熊野のイセエビ漁は、約半年間もっぱらその操業だけであるので、網数など細かい自主規制を行っている。

 一方、安楽島地区では、カキ養殖が忙しくなるので実質半月しか操業せず上乗せ規制はない。規制内容だけみると資源管理に遅れているかのようにみえるが、むしろ総体としての資源への圧力は、安楽島地区の方が低いであろう。

 答志の底びき網漁船も、その季節に応じサワラ流し網やフグはえ縄などほかの漁業にも従事していた。ところが、かつて馬力規制が強化され、船速が大幅に遅くなったことで、これらの漁業の操業が難しくなり、収益が低下し漁業後継者が次々と船を下りていった。

 答志に来て何より驚くことは、魚の種類が豊富で、同じ漁船がいろいろな漁業に転換していくこと。私はこのような実情をみると、究極の資源管理とは、特定の資源に圧力が高まらないように漁業を分散させる、いわゆる「多本足漁業」にあるような気がする。これは経営の安定化にも貢献し、あの有名な大分県姫島の「漁業期節の定め」にも通じるものと思う。