水経セミナー・集いのご案内

サワラの海女漁?

2015年10月29日

 市場で手伝いをしていると「ガシャーン」と大きな音が聞こえてきた。視線をやると、パレットに積み上げた発泡スチロールの端の一列が傾いて、岸壁と漁船のわずかな隙間から海に落ちたようだ。箱は海に浮いているが、中身のサワラはどうなった。こちらの作業が一段落したので見に行くと、海底に30尾以上のサワラが白い腹を見せて横たわっていた。それも1メートル近いものばかり。でも周りの人たちは、黙々と陸揚げ作業を続けている。「もったいない」と思いながらも、水深が5メートル以上もあり、どうするのだろうかと海底を眺めながら思案していた。

 その時である。視界に何か黒いものが入ってきた。一瞬何かと思ったら、何とそれはウエットスーツを着た完全武装の海女さんだった。そうだ!答志には海女さんがいたのだ。落下からわずか20分足らずで「サワラレスキュー隊」が登場したのには感動した。その頼もしい海女さんは、サワラを落とした漁船の親戚のおばさんだった。だから、皆さん落ち着いていたのだ。

 普通は、海女さんが潜るとそこで姿が見えなくなる。しかし、その日は特に海水の透明度が高く、海女さんの救出作業をほぼ真上からすべて見られたのは幸運だった。海女さんが両手にサワラを抱えて海面に上がってくると、思わず「サワラの海女漁だ!」と笑い声が。偶然にも若い女性の3人連れが市場見学に来ており、このシーンに出会い「やったー」と大喜びで、写真を撮りまくっていた。

 まさか、その写真がネットで全国に広がり「答志にはサワラの海女漁がある」と誤解されることはないと思うが、やり方次第では、見てもらって食べてもらう観光コースになるかも。地元では、海女さんが獲った漁獲物に「あまもん」というブランド名を付け売り出し中であるが、さすがにこれを「あまもん」と称するのは無理だろう。でないと、誰かが「松阪牛」を落としたら「あまもん松阪牛」という得体のしれないものが世に出回るので。