あつものに懲りて

2017年6月27日

 たまたま上京した際、漁業経済学会が開催され「沖合漁業の再考」がテーマだったので、面白そうだと聴講してきた。そこで私は、資源管理という名の「獲らない漁業」に慣れ切っていた間に起こった日本漁業の真の衰退の姿をみたような気分になった。増えてくるマイワシ資源が利用できないのである。

 最大の漁場が形成される道東での前回の豊漁期には、地元にミール工場が24あり、一日1万3000トン処理できた。現在はその10分の1で、食用向けの処理能力を含めても一日2000㌧。これでは道東全体で年間10万トンが限界で、前回の豊漁期では釧路港だけでも85万トン水揚げ処理されたことから、全くもって衰退の限り。

 ミール需要が増大し、価格も上昇しているので、ミール工場をどんどん造りじゃんじゃん輸出すればよいと多くの人は思うだろうが「その動きがみられない」という。私には実にそれがよく分かる。

 というのは、当時北方底びき網漁業を担当し、顔なじみであった地元有力漁業者が後日破綻した理由が、マイワシへの投資が回収されないまま減少期を迎えてしまったからである。

 マイワシ資源の盛衰を山に例えるなら前回は富士山のような形。では、今回どのような山の高さと幅になるのか誰にも分からない。前回はエイヤーとやったが痛い目にあったので、今回は慎重にならざるを得ないのはよく分かる。

 しかし、これでは「あつものに懲りてなますを吹く」である。そこで今回は投下資本の長期回収を可能にするために、陸上工場ではなくミール工船方式とし、例えば釧路と境港の間を漁場形成に応じて行き来させるなどはどうだろうか。またミール大国ペルーとの資本提携で工船を造るか借りてきて、再び資源が減少期に至ればそれをペルーに戻す。そうすれば「あつもの」もそんなに熱くなくなる。ぜひマイワシ資源の復活を「獲る漁業」の復活につなげたい。