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「官官接待」復活待望(暴)論

2016年5月13日

 漁業者と魚の値段について話す中で、特に沿岸漁業の高級魚が今の2倍近くした頃を懐かしみ、「官官接待をやめたのがよくなかった」と何度か言われたことがある。かつて「官官接待」は厳しく糾弾され、その後公務員と民間との会食にも厳しい規制がかかるようになった。確かに、国民の視線からすれば当然であろう。しかし、規制により生じた魚価への影響だけでなく、あまり知られていない事情も聞くと、「会食」が担っていた社会・経済的効果というものを感じざるを得ない。

 その1つが中年以上の寡婦の方の職場が失われたこと。私が県庁に出向していた頃は規制もなく、漁業団体の理事会後の会食によく出席した。先方は毎日人が違うが、こちらは同じ料理屋で同じ宴会食を連日食べ続けるのは、なかなかきつい仕事であった。なじみになった仲居さんたちの多くは、中学や高校生の子供を抱えた寡婦であった。規制が強化されたあと、その料理屋の事情を聞くと、閑古鳥が鳴いており、多くの仲居さんもやめたとのことであった。規制強化はやむを得ないとしても、その影響が社会的に弱い立場の人に及んでしまった現実には、何とも悲しい思いがした。

 もう1つは、答志市場の仲買人で、若いころ板前をしていた方から聞いた話。かつては料亭などで修業し、その後出身地に戻り、小料理屋などを開業する例が多くあり、この仕組みが和食、特に魚料理の板前の養成機能を果たしてきた。しかし、規制の影響で料亭などが減って板前の人数そのものが減少し、結果的に和食全体のレベルの低下にもつながったというもの。

 官官接待をそのままの形で復活するのは、社会が許さない暴論だろうが、当時その財源が公共事業の1%に当たる事務費から支出されていたように、例えば地元の高級料理店のみに限定した半額割引券を地域振興券のように配布してはどうか。年に1度、家族がお座敷で本当においしい魚料理を味わうとなれば、和食文化の伝承や魚価の維持などに大きく貢献する乗数効果の高い施策になると思うが。