Vol.34  魚肉パワー/日本人には魚がいちばん

 水産物はEPAやDHAをはじめ、良質なタンパク質を豊富にもちながら、低脂肪というまさに理想的な食材であり、ヘルシーな食材として、世界的な注目も高まるばかりだ。

 実は今、魚は海外から注目を集めるだけでなく、国内のプロスポーツ選手からも熱い視線が注がれている。魚の「高タンパク、低脂質」がスポーツ選手の体作りと疲労軽減などに役立っているというのだ。

 そこで今月は、魚肉タンパクに着目。特に“走る”要素が大きく、動きの激しいスポーツであるサッカー選手における魚肉タンパクのパワーにスポットを当てる。J1湘南ベルマーレの小嶋久義トレーナーに話を聞いた。

走り続ける体を作るため

9月28日の浦和レッズ戦(Shonan BMWスタジアム平塚)のワンシーン。中央のキャプテンマークを付けた背番号6は永木亮太選手(写真提供=(株)湘南ベルマーレ

 「試合前、選手はできるだけ脂質を取らないようにしている。試合前日は、魚料理を増やし、常に2種類の魚メニューを出している」と紹介するのは、選手のコンディション管理を担当している小嶋トレーナーだ。

 湘南ベルマーレは昨年、若手を主体とした試合開始からタイムアップまで走り続ける攻撃的サッカーを貫き、J1昇格を果たした。

 「日本の一般的な家庭では魚を食べる機会が減っているようだが、ここでは逆だ。選手の間では『魚はヘルシー』というイメージがあり、走り続けられる体を作るために積極的に食べている」。

筋肉疲労や脂質代謝に

小嶋トレーナー。手にするのは、チームで使用しているタブレット形式の低分子魚肉ペプチド

 そのイメージを強くしたのは、同チームが数年前から利用している、スポンサーの鈴廣かまぼこ(株)が作る低分子魚肉ペプチドだ。筋肉疲労や脂質代謝の改善などの効果が期待されているサプリメントで、「寝る前に飲むと、朝の目覚めがすごくよいという声を聞く。

 けがをした時は多めに摂取するなど、コンディションに合わせて飲むことで、その効果を実感している。筋肉の増量を助けるプロテインとしても優秀。筋トレの前後に1年間摂取し続け、体をひと回り大きくした選手もいる。原料が魚というのも安心感がある」と話す。魚料理に対する選手の意識も変えた。

日本的な食生活が大切

 「僕もそうだが、日本サッカーはこれまで、当たりの強い海外選手と同じやり方で戦おうとしてきた。しかし、今は日本人のよさを引き出し、短所を補うやり方に変化してきている」と小嶋トレーナー。日本サッカーの長所といえば、勤勉で判断力に優れ、視野が広いという点。それには、献身的に走るサッカーがとても合う。

 「欧米化した食事が増えているが、日本人の体には魚がいちばん合っていると思う。日本の国民性を武器に海外と戦うには、魚を食べてがんばるというスタイルが自然だ。日本人らしいサッカーができるしっかりした体を作るには、子供のころからきちんとした日本的な食生活で育てることが大切」という。

 プロスポーツ選手の体作りで今、注目度が増す魚肉タンパク。子供のころから、魚中心の食事をして練習に打ち込めば、近い将来、Jリーグのピッチに立つことも決して夢物語ではない。

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