人気のサラダブームを背景に野菜とコラボし“洋風”のメニュー提案をしたことで大人気となっている魚惣菜がある。持ち前の技術を駆使しながら、フレキシブルな発想で作られた商品は、時短ニーズの高まりといった時流にも合った。商品開発の経緯を聞きヒントを探りたい。
全国屈指の水産物水揚げ港である八戸で、サバ、イカを中心にさまざまな加工品を作り上げているヤマヨ。昨年販売を開始した野菜とコラボの魚惣菜「3種の野菜と○○のサラダ」シリーズが大好評を得ている。
最初に商品化されたのは「3種の野菜とさばのサラダ」。昨年6月の発売当初は、人気のサラダチキンよりも価格が100円ほど高く、果たして売れるのかという売場からの疑心暗鬼の声も上がっていたというが、フタを開けてみると予想以上のヒット。水産売場だけでなく日配やサラダ惣菜カテゴリーとして、サラダチキンと同じ売場で売られるケースもあるなど、売場の壁を飛び越えた画期的商品となった。今では宅配やドラッグストアなど売り先が拡大している。
商品開発の経緯について東京販売本社の藤田和弘執行役員営業ユニット長は、「当社は〆サバメーカーだが、脂の乗りは抜群なのにサイズが小型だという理由で、このところ〆サバの評価が下がっていた。良質な資源を消費者にもっと食べてもらうにはどうしたらよいのか模索していたところ、〆サバを購入する消費者の中にはそのまま食べるのではなく、切って洋風マリネにして食べたり工夫していることが分かり、それらがヒントになって、本社社長直轄の開発グループと東京販売本社が連携して商品開発を進めた」と話す。
背景にはチキンサラダをはじめとしたサラダブームや青魚ブームもあり、野菜との組み合わせという洋風メニューの提案や深絞りタイプ包装で手を汚さずにそのまま皿に盛れるなど、手軽で時短という時流にも合い販売は拡大中。その後シリーズとしてはイカ、ホタテ、サーモンを使った商品を順次、新発売している。今ではインスタグラムなどの交流サイト(SNS)で同社商品を使ってアレンジ料理レシピを載せている一般消費者からアイデアをもらい、売場提案をすることもあるそうだ。
今後の商品開発について「当社は〆サバメーカーとしての技術の蓄積はある。ただ商品開発は魚の資源が安定的なことが大前提。今後は魚にとらわれず、地場で獲れる食材なども使いながら、時流に合った商品開発を進めていければ」と話している。
低カロリーかつ高タンパクなダイエット食として、改めて注目を浴びているのがカニカマだ。昨年、人気テレビ番組で紹介されブームになったのは記憶に新しい。前からサラダの具としての提案はあったが、近年は商品名やパッケージで強調する傾向がみられ、明らかにサラダとの親和性を意識しているのが分かる。
コンビニ発の人気商品「サラダフィッシュ」もそう。ただ、ネックは価格。オリジナルの「サラダチキン」ほど値頃感は出ない。カニカマがサラダと好相性なアイテムとして今もトップである理由はその安さにありそうだ。