食に「色」は欠かせない大事な要素だ。特に味覚の前にまず色やツヤ、盛り付けなど目で食事をするという日本独特の食文化にも起因するかもしれない。今回は容器の「色」にスポットを当て、使い方によっては味の伝達ツールになり得る可能性を探ってみた。
スーパーの寿司コーナーや鮮魚コーナーで、目を引くのはどのような商品だろうか。季節によって売場のデザインやディスプレー方法などに工夫を凝らす店舗も多い。だが、商品は同じでも、容器の「色」を変えることで、日常的にちょっとした変化が付けられる。
何色の衣服を着るかで人の印象が変わるように、食材も容器の色によって、与える印象は異なる。見た目で味が連想できれば、購買意欲を刺激することだって可能だ。
例えば私たちは、
・黒は「味の濃さ」
・赤は「甘み」
・青は「塩気」
・金は「うま味」
を、視覚から連想するといわれる。色のもつイメージ喚起力を積極的に活用すれば、食材の調理法や味のイメージを消費者に直接、訴えることも難しくはない。そこに「どう見せたいか」という売る側のコンセプトが問われる。
鮮魚や寿司の場合、「『甘み』を強調した方が売れる」と、エフピコ容器開発部の横山和典ジェネラルマネージャーは解説する。握り寿司セットでは、底皿を黒地ベースとし、「甘み」の赤と「うま味」の金を挿し色に用いた容器がここ5年ほど一番人気で、鮮度感や清涼感を表現する青の挿し色の場合よりも、消費者が手を伸ばしやすいという。
同じ商品でも、盛り皿の色で、さまざまな用途イメージを呼び覚ます。例えば、ボイル済みホタルイカも、青は刺身、緑はサラダ、黒はつまみなど、盛り付け容器の色によって食べ方のイメージが変わる。
「消費者に食材をどう使ってほしいか。売る側がイメージして、パッケージングすることが大事だ」と、横山ジェネラルマネージャー。「見た目で味が訴求できれば、メニュー提案も仕向けやすいはず」。
容器の色を味の伝達ツールに使いこなせれば、魚食の提案に、より幅をもたせることができるだろう。