Vol.27  大型連休、家族揃って水族館

親子3代で盛り上がるフィッシングスクエア

 大型連休を目前に控え、旅行やレジャーなどの計画を立てる人も増えるこの時期。休みの日こそ、家族揃って、魚に触れ合う絶好のチャンスだ。今回は、“家族が魚で一日楽しむ”をテーマに、レジャー感覚で、海の生き物に直接触れたり、生態系を学べ、さらに食育までつなげていこうとする、スポットに注目。“海育”をコンセプトに、今年3月にオープンしたばかりの横浜・八景島シーパラダイスの「うみファーム」や、水産卸の佐政水産が地元・沼津港に観光と食を楽しむスポットとして建設した「深海水族館」「シーラカンスミュージアム」「港八十三番地」を紹介し、その魅力を探っていく。

【横浜・八景島シーパラダイス】“海育”テーマにうみファーム誕生

オーシャンラボでは海中遊覧船から海の生物を観察

 横浜・八景島シーパラダイス(?横浜八景島)は“海育”(人が自然の海と触れ合い、海とともに成長していく)をテーマに、今年3月「うみファーム」を新設した。

 2年前に発生した東日本大震災で、自然の脅威の部分がクローズアップされたが、同社は、海の恵みの部分にも目を向けてもらいたいと、シーパラダイス開場20周年の節目に、海の生物を観察し、直接触れ、そして食せる、体験型の施設を完成させた。

 施設は「食育ゾーン」と、東京湾の生物やその生態が観察できる「オーシャンラボ」などで構成。食育ゾーンはフィッシングスクエア、ハンティングスクエアで構成し、うみファームと連動した「海のバーベキュー 焼屋(やきや)」も同時オープンした。
 フィッシングスクエアでは、アジ(通年)、季節の魚、プレミアム魚のイケスに分け、竿(さお)と餌をレンタルすると、どのイケスでも好きに釣が楽しめるとあって、連日、家族連れで賑わっている。季節の魚とプレミアム魚は4月はギンザケとマダイで、季節により魚種を変えている。

 釣った魚は原則持ち帰り不可。「自分が食べられる量だけ釣りましょう」と、釣竿を渡す際にひと言添えることで、「食育体験の場なので、釣る量も自分で考え、命を無駄にしないことを学んでほしい」(同社)という。

 フィッシングスクエアの隣には、釣った魚を唐揚げなどに調理する「からっとキッチン」コーナーを設置。コーナーは、全面ガラス張りにすることで、調理風景も見られるよう工夫されている。

 魚は同コーナーだけでなく、バーベキューコーナーやシーパラダイス内の飲食店各店舗でも調理してくれる。
 オーシャンラボは、海中遊覧船から海中の様子を観察するサブマリンリサーチやロープに海藻類を繁茂させ、成長を観察する海藻デッキなどを設け、東京湾本来の生物相や生態系を回復させる取り組みを行いながら、その変化をリアルタイムで観察できる施設になっている。

 来場者層は「親子三世代で来場される方が多い。魚釣などはおじいちゃんが孫に餌の付け方を教えるなど、家族間の交流も深まっているようだ」(同社)と、海の生態系や食育、家族のつながりを深める場としても、今後、注目を集めそうだ。

【沼津 深海水族館】駿河湾の魚を見て・食べて

「港八十三番地」の直営店「浜焼きしんちゃん」のメニューになっている各種魚介類

 平成23年冬に静岡・沼津港に誕生した「深海水族館」と「シーラカンスミュージアム」、食堂街「港八十三番地」は、地元の水産卸・佐政水産が自社用地に建設した観光と食を楽しむスポットだ。

 観光面の魅力をさらに高め、地元の住人も憩える場にと、計画された。メーンは眼前の駿河湾と縁のある深海魚。中核施設の「深海水族館」と「シーラカンスミュージアム」の初年度来場者はほぼ目標を達成した。地場産魚を一定量扱うことを条件に募集した「港八十三番地」の各店舗では今、深海魚含め4?7割が地場産メニューだ。家族揃って、駿河湾の魚の魅力を視覚と味覚で、楽しめる一角となっている。

 干物産地・沼津の姿とは違った側面を掘り起こし、新たな魚食開拓につながる可能性を秘めた画期的取り組みといえる。

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