Vol.24  受験生応援/魚で縁起担ぎと身体づくり

 中学、高校、大学受験の佳境を迎えるこの時期、「合格」「受かる」などをもじった商品が店頭に並ぶ。水産物でも「受験にトーロー(通ろう)」と、マグロのトロを販売するなど、購買を促す売場もある。受験生本人にとどまらず、両親や周囲の応援する人々など、需要はまだまだあるはず。だが、単なる縁起担ぎだけでなく、水産物の栄養バランスや、優れた機能性を再認識するきっかけとしたい。

脳を活性、イリコで、入校(いりこう)

神だのみと栄養豊富な食事で「合格入校(いりこ)」

 濃厚でうま味の強いダシがとれるイリコ(煮干イワシ)は近年、カルシウム不足解消に、食べるイリコとしての商品も増えてきた。徳島・岩瀬海産では、前浜で獲れた小羽イリコを、志望校に入る↓いりこうの語呂に合わせた「合格入校(いりこ)」として、平成17年から販売している。

 受験生の親との交流から生まれた商品は、縁起担ぎに終わらず、イライラ解消のカルシウム、疲れた身体の栄養となるタウリン、脳の働きを高めるDHAが豊富に詰まったもの。歯応えのあるイリコそのものを食べ、“噛(か)む”運動が脳を刺激し、発達を活性化させる効果も生まれる。

 商品を食べて合格した購入者からは、毎年喜びの声が寄せられるという。同社は「魚食への関心にもつながれば」と、期待を寄せている。

神の魚のご加護 ハタハタ

ハタハタを丸ごと使った通称「イケMEN’Sカツ」

 文部科学省の学力テストで昨年の全国一位となった秋田県だが、中でも県西北部の八峰町は、市町村別で日本一に輝いたことがある。

 八峰町はハタハタの一大漁場であり、消費量も群を抜くことから、「ハタハタの機能性に効果があるのでは」ともささやかれる。

 同町の水産加工会社・鈴木水産では、受験生応援食品として「イケてるハタハタメンチカツ」を考案、販売している。漢字で魚偏に神と書くハタハタ。受験生に神のご加護があるようにと、商品にはハタハタを6割も使用。骨が気にならない程度に丸ごとミンチし、カルシウムたぷりのメンチカツに姿を変えた。

幸多く、置くとパスする タコ

合格ぬいぐるみ(中央)とタコの特産品

 受験の験担ぎに「置くとパスする=オクトパス」「多幸=タコ」と、タコ絡みの商品は多い。宮城・南三陸町の「オクトパス君文鎮」、茨城・ひたちなか市の「多幸カレー」など、産地や加工地からの発信もある。

 熊本・天草市はタコによる街づくりを目指し、市内有明区間を走る国道を、「天草ありあけタコ街道」と命名。街道沿いでは、地ダコを使った料理や加工品ほか、合格祈願のストラップやぬいぐるみ、絵馬が販売されている。タウリンが豊富なタコを食べ、疲労を回復するとともに、タコのように志望校をしっかり捕らえ、粘り強い学習を。

 「魚を食べると頭が良くなる♪」と歌われる水産物は、栄養バランスに優れ、精神力の維持や疲労回復が見込まれる。受験本番に万全の体調で臨んでもらうため、この時期こそ水産物を売り込む、好機かもしれない。

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