Vol.12  受験シーズンに「魚で勝つ!!」

 チョコレート菓子のキットカットが、「きっと勝つ」に通じるとしてこの時期、受験シーズンの応援商品の定番となっている。同様に「受かる」「突破」などをもじった験担ぎアイテムもめじろ押しだ。水産加工品にもこうした語呂合わせで縁起を担ぐ商品がある。ただし水産物の場合、優れた栄養素も兼ね備え、単に語呂合わせだけで終わらない。魚食(うぉーく)にっぽん 新シリーズ第1弾では、「魚で勝つ」商品を紹介する。

 受験生応援商品には、多少のこじつけもなんのその。当人はもとより、その家族に対して購買意欲を高める。他方、水産物はどうか。「♪魚を食べると頭がよくなる?」の歌がはやって以降、目立った動きはない。印象強いネーミングをきっかけに、商品の機能性と宿る確かな物語をアピールできれば、受験シーズン=魚が注目される通例となるほか、不況からの脱却、贈答品として、通年商材へ成長する可能性もある。

現代の必勝食は、総合格闘家とコラボし、「克」の字を当てる

戦国武士の必勝食 [カツオ節]

 「堅魚(かたうお)」が語源と言われるカツオだが、戦乱の世に生きた戦国武将は、カツオ節に「勝つ男の武士」の字を当て、縁起を担いだ。

 もちろん、勝利を願うだけでない。カツオ節は携帯に便利で、栄養豊富と実用性も高い。また、含まれるアミノ酸やペプチドは、高血圧の予防や疲労回復、あるいは集中力を高める効果があるそうだ。

 最近の研究では、カツオだしの成分が胃の運動を促進し、満腹感を早期に高めることから、ダイエットの効果も期待されている。

黄門マルシェで試食を実施

 ならば、現代でも必勝食となるか。鹿児島県出身の総合格闘家・菊野克紀選手は、同県枕崎市のカツオ節製造社・金七商店と出会い、同社の枯れ節を食べて以降、大晦日の格闘技イベントを含め2試合連続の勝利だ。

 この枯れ節は「克男武士」の名で商品化に踏み出すという。「勝」でなく「克」の字を当てたのは、菊野選手の名前からだけでない。勝負に勝つよりも、「克服」「克己」に代表される「がんばって克つ。己に克つ」点が商品に合致したためと、同社では話している。

置くとパス(オクトパス)する [タコ]

受験シーズンに合わせ“多幸カレー”もラインアップ

 験担ぎで縁起のよい水産物としてお馴染みなのがタコ(オクトパス)。置くとパスするからということで、受験シーズンには必ずといってよいほど話題に上る。

 昨年は南三陸町にある合格祈願文鎮として人気の高い「オクトパス君」の会社が東日本大震災で被災してしまったが、南三陸町復興ダコの会により「東北復興 ゆめ多幸鎮 オクトパス君」として復活、合格祈願と除災願、商売繁盛を願って販売中という希望に満ちた話題も見逃せない。

 タコはイカと同じようにタウリンが豊富であることが一般的に知られている。タウリンはアミノ酸の1種で抗酸化作用やコレステロール値を下げること、肝臓や心臓の機能を上げることなどがあるようだ。受験生はまさに日々試験勉強に明け暮れ、受験を前に疲労も蓄積されている。そんな受験生の疲労回復にも役立つとされている。

 日本一のタコ加工地である茨城県ひたちなか市で加工を行っているあ印では、昨年末「多幸カレー」の製品化を行った。以前からギフトなどで多幸(タコ)シリーズを販売しているが、今回の「多幸カレー」はタコ1匹から1個しか取れない珍味タコトンビ入りの本格派カレーで、レトルトタイプのカレーのため、受験生の夜食にもぴったりと受験シーズン前の販売に間に合わせた。こちらは受験生にとどまらず、健康祈願や安全祈願など“多幸”が訪れるようにと願掛けもあって作られたものだが、早速、多くの引き合いがあり、話題となっている。

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