「朝で佐賀(さが)つく最高の朝ごはんを。」のコピーで、県産品の数々をPRしているのが佐賀県だ。専用サイトや動画で、コメや野菜、果物から畜産物、水産物まで、食材がバランスよく揃う、産地・佐賀の魅力を朝食に絡めて面白おかしく紹介している。ただ眺めているだけで、がぜん佐賀県産品の朝食が食べたくなる、「あさご藩」プロジェクトに注目した。
専用サイト(http://www.asago-han.jp/)を開くと、「あさご藩」の文字とともに目に飛び込んでくるのが家紋を模したマークだ。伝統的な和食の基本スタイルである一汁三菜のお膳をデフォルメしたもので、佐賀に朝食を何より重んじる藩があったという物語の設定が由来となっている。
動画第1弾「全米が、炊けた。あさご藩?a saga breakfast saga」では、お笑いコンビ・ナイツの塙宣之、芸人のはなわ、女優の優木まおみといった佐賀出身のタレントが、朝食をめぐるドタバタ時代劇を繰り広げる。出演者らが、佐賀県産品の料理をうまそうに平らげる様子に、見ている側の口元は思わずほころぶ。
「あさご藩」プロジェクトが目指すのは、佐賀県産品に興味をもってもらうきっかけづくり。水産でいえば、日本一の「佐賀海苔」をはじめ、江戸前寿司に欠かせない佐賀有明産のコハダ、活き造りが有名な呼子のイカ、玄界灘で獲れた良質のアジなどだ。
県の流通・通商課の担当者は、昼食や夕食でなく朝食を主役にしたのは「朝食はシンプルなレシピが多く素材感が最も伝わりやすかったから」と理由を話す。素材が生きる献立だから県産品の魅力がダイレクトに伝わりやすい。
まず1年目は、NHKの朝ドラ「ごちそうさん」などで監修を務めたフードスタイリスト飯島奈美さんの協力を仰ぎ、一品10?20分で調理できる季節ごとの一汁三菜「最高の朝ごはん」を開発した。
動画にも登場する「最高の朝ごはん」レシピはサイトの中で紹介されている。またレシピに加えて素材の佐賀県産品の紹介や、一部のメニューでは動画によるレシピもあり、佐賀県産品を使用して手軽に作れるように工夫している。
「最高の朝ごはん」を実際に食べられる実食イベントも、県内と首都圏において期間限定で実施した。どの現場の反応も良好で、「佐賀県産品をもっと食べたくなった、佐賀に行きたくなったというコメントをいただいた」(県流通・通商課)と一般の消費者からの評価に手応えを感じている。
1年目はイメージ戦略中心だったが、2年目の今年度は実際に手に取り、作ってもらえるよう考慮した。2作目となるプロモーションムービーは、最高の「あさご藩士」の称号を懸けた料理対決となっており、実際に作るシーン、食べるシーンが満載だ。
日本一の「佐賀海苔」に焦点を当てているのも今年度の特徴。11月中旬のサッカーJ1サガン鳥栖vs.FC東京戦では、交流サイト(SNS)を通じた発信力に定評のあるFC東京サポーターに「佐賀海苔」のコピーを掲載したプリントノリを配布。12月中旬の小さい子供をもつママさんの集まるイベントでは、ママさんに向けて栄養面などを掲載したプリントノリを配った。
「『あさご藩』が全国に広がり、佐賀県産品ファンをさらに増やしていく取り組みをしたい」(県流通・通商課)。最終的には佐賀県産品を扱う業界が潤う好循環をつくり出せるよう、ユニークなプロジェクトは来春、飛躍の3年目を迎える。