Vol.17  【地方発・米と魚の新ビジネス】米粉パンに挟む、乗せる

 水産物加工品といえば「ご飯によく合う」が売り。確かに相性は抜群だが、食生活の多様化が進む中、米飯とのセットだけでは、魚の消費拡大に限界がある。ならばパンはどうか。海外で魚の組み合わせは決して珍しいものではないが、日本人には「魚といえば米」の概念が根強い。そこで、米とパンの間にある米粉パンに、魚食普及の協力を願いたい。こっけん料理研究所の協力のもと、その可能性を探ってみた。

魚食+米飯の限界を打ち破れ

マイワシの一夜干しを具にした米粉ピザ(焼き上げ前)

 近年、特に若者に人気の水産物は、「うまい=脂が多い」傾向にある。そのため脂が少なく、ただし、咀嚼(そしゃく)することでうま味の出る魚も敬遠されがちだ。ゴマサバやイナダなど、十分な資源がありつつ、魚価が上がらない魚にはこうした共通項がある。一方、サーモンなど脂が多くても軟らかい魚は、わずかな咀嚼だけで、うま味を堪能し切る前に飲み込んでしまう。

なぜ米粉パンなのか

 こっけん料理研究所の萩田敏所長によると、米粉は軟らかいサンドイッチ用から固めのフランスパン、ピザやクレープ生地と、小麦粉製品のほとんどを代替できるという。

 パンにした時の特徴は、外はパリッ、中はもっちりの食感にあり、必然的に咀嚼回数が増える。米粉パンとの組み合わせ次第で、米飯より優位性のある魚の売り方提案ができるはずだ。

イナダ、マイワシで挑戦

刺身イナダを米粉クレープで包んだ

 脂の少ないイナダの刺身で試作してみた。オリーブオイルをなじませ、ユズコショウやバジルペーストなどで下味をつけたイナダは、香味野菜とともに、米粉クレープで包む。

 油の吸収が少ない米粉は、小麦粉に比べ油やバターの使用が少ない。脂の乗った魚に小麦粉パン、ソースでは3つの油(脂)が主張するが、こうした食べ方の場合は、むしろ脂の少ない魚が合うようだ。

 ソースの油だけで全体がまとまり、魚の味を堪能できる。

 資源が回復傾向にあるマイワシは、一夜干にし、ピザの具材として加熱調理を試みた。

 もっちりとした強い食感の米粉ピザは、噛(か)み進めるうちにマイワシの香りやうま味がホロホロと崩れ出る瞬間に出会い、米飯以上にイワシを食べた満足感が得られた。

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