Vol.94  魚を食べるきっかけづくりを

遊び心を加えた商品を展開

遊び心を加えた商品を展開

 これまであまり魚を食べていなかった層に魚食を普及させるのは至難の業だ。調理の難しさや、もともと食習慣に魚が入っていないなど、魚を食べない理由はさまざまだが、まずは魚に興味をもってもらうために、新たな切り口の商品を提供することで魚食普及につなげようと開発に取り組む企業がある。浜松市に本社を置き、マグロを中心に鮮魚全般の仕入れ販売を行う(株)海商だ。遊び心を加えた商品を展開する同社の開発の取り組みなどについて、同社東京営業所の京谷隆徳企画営業部部長と上ケ嶋静香さんに話を聞いた。

想定以上に売れた第1弾

京谷部長(右)と上ケ嶋さん

京谷部長(右)と上ケ嶋さん

 「作った自分で言うのも何ですが、月に2個売れたらいいかなという計画で出したのが、第1弾の『対ひとり晩酌訓練用イセエビ』。フタを開けると、1か月で販売数量の400個を完売した時はこちらが驚いた」と京谷部長。この商品は20~30代の未婚男性をターゲットに、プラモデルを組み立てるようにイセエビの活け造りを自分で作ることができるキットだ。
 同社の商品は自社のホームページでしか販売していない。2年前に販売を強化するために立ち上げたのが企画営業部で「以前も自社ホームページはあったがアクセスはゼロ」(京谷部長)だったそうだが、部署立ち上げに伴い全面リニューアルし、今や17万ページビューを超えるまでに。

(上)「ありのまんま」のパッケージを開け、醤油を垂らす (下)あとは食べるだけ。写真はマグロ刺身が入った「プロテイン」

(上)「ありのまんま」のパッケージを開け、醤油を垂らす
(下)あとは食べるだけ。写真はマグロ刺身が入った「プロテイン」

 部内の企画アイデアをもとに実際に商品化し、マーケティングなどを行うアートディレクターの上ケ嶋さんは、第1弾の商品の販売にあたり、さまざまな策を講じた。「まずはプラモデル愛好者の交流サイト(SNS)にアクセスし『いいね』を付ける。するとこちらのサイトにもアクセスし、商品を見てもらえる機会ができた」と商品コンセプトに合致する層にSNSを使い直接アプローチしたことが功を奏した。

 第1弾に続き、自宅のガスコンロでも屋外のバーベキューやキャンプ気分が楽しめる「BBQ缶(なつやすみ味)」、サプリメント感覚で手軽に魚を食べてもらうと同時に魚の栄養素も知ってほしいと「ありのまんま」を発売するなど、斬新なアイデア商品を次々に出し反響を得ている。

 京谷部長は「作っている側が楽しんでいることが大切だと思う。ただ、おいしさにはこだわっている。実際、食べて味がそこそこだとやっている意味がない。当社は量販店などにも卸しているが、消費者が量販店に魚を買いに行くきっかけづくりを手伝いたい。魚食普及につながってほしいという思いでやっている」という。まず原料部門から販売したい原料の打診をもとに売り方を考えるのが部署の基本姿勢。「企画商品を食べて、おいしかったということで、通常のマグロなどを買われるリピーターのお客さまも増えており、いい相乗効果が出てきている」(上ケ嶋さん)と手応えを感じている。

日本人はやっぱり魚が好き

あとは食べるだけ。写真はマグロ刺身が入った「プロテイン」

あとは食べるだけ。写真はマグロ刺身が入った「プロテイン」

 「事業を進める中でいつも感じるのは、日本人はみんな魚好きで、魚が重要なキーワードになっているということ。魚離れといわれるが、(消費者のニーズに合った提供ができず)こちらが離してしまったのではないか」と京谷部長。「ありのまんま」は魚離れを認めたうえでできた商品。「栄養面についても魚はちゃんと調べないと情報が出てこない。この商品を発売した時に『何を添加しているのか』と質問を受けたこともあるが、商品名の通り、魚は何も加えず素材そのままで、表示している栄養素が取れる。日本人にとって身近過ぎて、知っているようで知らないことが多いのが魚だと思う」(京谷部長)と新たな切り口と手軽さ、魚本来のおいしさを兼ね備えた商品を提供することで新たな魚ファンを獲得している。

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