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Vol.8  産地=消費地・流通がつなぐ/「生鮮時間便」・「ふるさと小包」

 水産物を食べた時、人々に「おいしい」「楽しい」と感じさせるのに重要な要素の1つに、水産物に付随する「生産者の思いやこだわり」といったストーリーがある。価格設定や効率化が最優先にされ、食を楽しむうえで大切なものをしばしば忘れがちになる中、多様化した流通チャネルがそれらを補い、利用者を増やしている。今月の魚食にっぽんは、大手運送業者が提供する2つのサービスに注目。魚食の拡大に何が大切なのかをいま一度見つめ直す。

ヤマトグローバルエキスプレス/「生鮮時間便」

朝揚がった魚を当日中に届ける「鮮魚時間便」

 運送会社大手のヤマト運輸のグループ会社であるヤマトグローバルエキスプレス?の代表的サービスの1つに、「生鮮航空便・生鮮時間便」がある。このうち「生鮮時間便」を使うと、最速で朝に獲れた魚を飛行機に積み、大消費地のレストラン・料亭などの業務筋や量販・スーパーに当日のうちに届ける。

 水産物の鮮度を保持しながら輸送・流通する手段は大きく進歩し、箱詰めや氷による冷やし込みをきちんとすれば、トラック輸送で翌日に配送した水産物でも鮮度に大差はない。ただ、そうはいっても「当日輸送」の看板は、最終消費者の目に魅力的に映る大きな武器である。それに加えて、郷土料理をパッケージごと宅配することも可能だ。

 営業戦略部営業推進担当の工藤貢チーフマネージャーは「地元・高知で親しまれているワラ焼き製法のカツオたたきを、東京や大阪で忠実に再現するには、カツオのほか高知のワラが要る」と考える。「とことんこだわるなら、ネギや大葉なども首都圏近郊の野菜ではなく、高知で手に入るものを揃える必要がある。当社なら、これらをまとめて大消費地の業務筋に届けられる」という。東京・大阪の地で味わう高知の味。最終消費者はそうしたうたい文句にお金を払う。また、産地からのメッセージが、同社営業を通じて業務筋や量販店・スーパーにそのまま紹介される。産地の思いが最終消費者を楽しませる仕掛けに役立てられ、魚食を楽しむ手助けをしている。

郵便局ビジネスサポート/「ふるさと小包」

ふるさと小包カタログ

 宅配便サービスでは後発だった郵便事業「ゆうパック」の取り扱い個数増加をねらい、地域の特産品流通を取り込もうと誕生したのが、カタログ販売サービス「ふるさと小包」だ。日本郵政公社の民営化後は、日本郵政グループの郵便局?に引き継がれたものの、現在もなお、利用業者と販売個数を伸ばし続けている。

 他社の通信販売事業と比べて、最も特徴的なのが水産品で3割とかなりなシェアを占めていることだ。この時期なら、サンマ、ホタテ、カニ、その他、明太子やタラコの魚卵などが豊富に揃う。

 郵便局の子会社で実質的な「ふるさと小包」事業を運営する、郵便局ビジネスサポート?カタログ営業部の下玉利佳明部長は、「全国2万4000局の郵便局の局長が、地域の皆さまに利用を呼び掛けられるからでは」とみている。水産分野には中小・零細業者が多い。ロットをまとめての出荷は骨だけれど、地元の郵便局を通じて申し込むだけで、自分の商品を全国にPRできる。

食を楽しむ気持ち大事に

 生鮮品流通は、長い期間をかけて培われた卸売市場制度を通じて行うのが、最も効率的かつ経済的な方法だ。現在も市場に勝る流通手段はないだろう。

 ただし、効率と経済性を追求するだけでは、「食を楽しむ」気持ちを盛り上げることにはつながらない。魚を食べる動機を呼び起こすためには、多少高くついたり、非効率であったりしても、郷土の特産品をもっと拾い上げ、生産者のこだわりをもっと素直に最終消費者に伝える、そうした姿勢が必要なのではないだろうか。

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