Vol.62  産地を意識して“ノリ”を選ぼう

フィルムタイプ(右)と直巻きタイプ

フィルムタイプ(右)と直巻きタイプ

 黒々と光り輝くノリ。冬が生産期のノリは春先まで全国で生産が続けられている。新芽も芽吹く春の行楽シーズンの定番といえば、おにぎり。おにぎりといえば、ノリがよく合う。日本人の食卓になじみ深いノリだが、実は養殖方法によって、大きく2種類あることをご存じだろうか。養殖方法や産地の特徴を知ることで、よりノリをおいしく食べられる方法を紹介する。

養殖法で違い、「支柱式」と「浮流し式」

 おなじみのコンビニエンスストアのおにぎり。最近ではノリにこだわったものも多い。このコンビニおにぎりにも、実は大きく分けて2種類あることを意識したことがあるだろうか。フィルムタイプで食べる時にノリが巻かれ、パリッとした食感が楽しめるおにぎりと、すでにご飯にノリが巻かれた、しっとりタイプの直(じか)巻きおにぎりだ。

 実はこの違い、ノリの養殖方法が異なることで、その違いをうまく活用したものなのだ。

 フィルムタイプのおにぎりには大体「有明産ノリ」と明記されている。

 支柱式の養殖場

支柱式の養殖場

 そう、フィルムタイプに使用されるノリは佐賀や福岡などの有明海で支柱式という養殖方法で生産されたノリが使われている。支柱式養殖は浅瀬に柱を立て、そこにノリ網をくくりつけて養殖する。潮の満ち引きを活用したこの方法は、ノリ芽が海に漬かっている時と、空気に触れ乾燥する時の2つの環境の変化から軟らかいノリが獲れる。この方法は遠浅の海でしかできず、現在、有明海で生産する佐賀、福岡、熊本と千葉の一部で生産されている。

 ノリに詳しい、全のり連の友枝裕己専務は「支柱式は干満の差がノリに独特の軟らかさを生む。軟らかい分、水分を含みやすいので、長時間、水分を含むご飯と一緒にすると溶けてしまう。食べる直前に巻くとパリッとした歯切れのよい食感とノリの風味がいちばん感じられる」と特徴を話す。

浮き流し式養殖場

浮き流し式養殖場

 一方、すでにご飯に巻かれたタイプに使用されるノリは、瀬戸内海などで養殖されている、浮き流し式という方法で作られている。この養殖方法はノリ網に重りと浮きを付けて、海の深いところで育てる。常時、海水に漬かっているので、ノリはしっかりとした葉を付ける。そのため、そのまま食べると若干、厚みを感じてしまうが「そのしっかりとした厚みが長時間、ご飯に巻いた時、適度な水分を含み、軟らかくなる。さらに水分を吸っても崩れないのが特徴。時間がたってから食べる場合は、この方法で生産されたものが適している」(友枝専務)。太巻きや最近はやりの「おにぎらず」や「スティックおにぎり」もこのノリが適している。兵庫などの瀬戸内海や宮城、千葉などが主な産地だ。

ノリ売場で迷ったら

 たくさんある商品の中で、何を買うべきか迷ったら、まずは産地をみて選んでほしい。食べる直前で巻くようなメニューの場合は有明海産、お弁当のおにぎりやおにぎらずを作る時は瀬戸内産や千葉産などが最適だ。

 ノリは色が黒く、表面に光沢があるものがおいしいといわれている。さらに等級ごとに相場も違うので、売価も一つの目安になる。

 養殖方法とその違いでできる産地ごとの特性を知れば、ノリのおいしさをさらに引き出すことができる。

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