Vol.1  学校給食の水産物利用の現状/村上陽子 教授

村上陽子(日本大学生資源科学部)講師に聞く

魚食を推進するうえで学校給食は重要な役割を果たしていると言える。最近の水産物利用実態はどうなっているのか、学校給食における水産物の調達状況や需要などに詳しい村上陽子非常勤講師に、学校給食の現状や水産物の導入状況、課題などを聞いた。

材料と安定供給と柔軟な対応が必要

◇学校給食における水産物の導入状況などを教えてください。

◆村上氏/学校給食の市場規模は約5000億円と推定され、うち水産物は25%ほどを占めている。水産物は調理の手間や価格面で導入しにくい部分があるが、利用は比較的進んできているのではないか。これまでカルシウム源を牛乳から摂取していたが、肥満の問題から最近はチリメンやイリコなど骨まで食べられる魚で補うケースも増えている。

平成18年の食育推進基本計画の策定も大きい。基本計画の中で「地産地消の推進」が盛り込まれた。これは都道府県単位で学校給食において地場産物の使用割合を30%以上にする目標値が定められており、これまで地産地消を進めてきた千葉県などは、この流れに乗った例だ。鮮度がよいことや産地がはっきりしている点など、地場の水産物に対する学校側のニーズは高まっていると思う。

◇原料を提供する側について。

◆村上氏/供給面では学校給食市場のもつ、低価格や手間がかかることなどがネックになっている。給食はメニューが固定されているので、安定した原料供給と学年別の栄養摂取量に合わせたグラム数に加工する柔軟な対応が求められる。東京・八丈島の漁協女性部は地元で水揚げされたトビウオやムロアジを使った加工品を出している例もある。東京都の場合、単独校方式が多いので1校当たり約400食分の供給で済むため、女性部で対応することができる。一方で、統一献立による食材の一括購入を行っている横浜市の場合、5万食単位を用意する必要があるため、女性部だけで対応することは困難であるし、水揚げが不安定な地場の魚を供給すること自体、難しいかもしれない。

◇学校給食に導入したい水産物は。

◆村上氏/原料供給の安定性の面から言うと、養殖ブリなどをもっと学校給食に入れてもよいのではないか。価格面の課題はあるが、学校給食は一般の市場と違い、大きさや見た目のよさなどは必要ない。また、油を使った調理が多いため、小さくて脂の乗りがよくなくても大丈夫なので、導入できる可能性は高いのではないだろうか。

都内の学校給食事情 ? 現状と課題、今後の広がり ?

食はわれわれ人間にとって生きるための大事な糧。そして魚食は健康な身体を育んできた日本人にとっても大切な源であり、文化でもある。そんな魚食を推進することで、ややもすれば低迷していると下を向きがちな水産業界が少しでも明るく元気になれるようなヒントになるべく、魚食推進を目的とした「魚食(うぉーく)にっぽん さかなで元気!プロジェクト」特集を開始する。今後、魚食をいろいろな側面から取り上げ、魚食の現状や課題、将来性について取り上げていきたい。

都内の学校給食で小魚の使用頻度増加

 平成17年の食育基本法制定以来、一時期よりも米飯が増え、それとともに魚惣菜の提供頻度も増えている。

 近年5年ほど、丸干イワシ、メヒカリ、ワカサギ、シシャモなど、丸のままフライ調理して食べられる小魚の使用が増える傾向にあるとのこと。また、食育の観点から「旬」や「地産地消」を意識し、多少価格が高くても地元の魚や国産魚、旬の水産物を使うよう心掛けている学校も多くなっているようだ。

 例えば、横浜市内の小学校の給食では、「こいわしのから揚げ」「ししゃもフライ」といった丸ごと食べられる魚の揚げ物メニューが月に1回以上はあるほか、「じゃこのいり煮」などが副菜として取り入れられている。

 また、都内のある区内の保育園・幼稚園では「焼きししゃも」「アジのマリネ」などがメニューに登場している。

 保育園の場合、昼食に加えて「おやつ」があり、カルシウムが豊富な小魚を使用したメニューも多い。「いりこ」「じゃこおむすび」「混ぜご飯(シラス干し入り)」なども食べられているようだ。

 子供への魚食普及でキーパーソンとなるのは、日々子供とかかわりながら、実際に献立を立てている「献立作成者」だろう。管理栄養士や栄養教諭に対し子供が食べやすい調理法や味付けを紹介することは、水産物の使用頻度や日々の食育指導に変化が生まれる一つのきっかけになると思われる。

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