Vol.53  乾物は万能食品、実は売場のキーワード

“乾物”は売場のキーワード

“乾物”は売場のキーワード

 乾物?と聞くと地味な響きに聞こえるが、実は今、その乾物が熱い。水産関係ではカツオ節や乾燥した海藻類、ノリなどがそれに当たるが、量販店の中には一つのカテゴリーとして乾物売場をつくり上げ、販売を強化しているところもある。いったい何がどう熱いのか、どんな可能性を秘めているのか、ちょっとのぞいてみよう。

実は売場のキーワード

乾物について熱く語る“かんぶつマエストロ”の西潟さん

乾物について熱く語る“かんぶつマエストロ”の西潟さん

 乾物市場は推定2400億円といわれる。残念ながら市場そのものは横ばい傾向にある状態だそうだが、和食が無形文化遺産に登録されたことなどもあり、乾物のよさも見直されつつあるという。

 大手食品卸企業の日本アクセスは、乾物販売にはひときわ思い入れが強い。それは平成19年、日本アクセスに統合された西野商事の成り立ちに礎があり、同社は唐辛子を袋に詰めて、リヤカーで売り歩き、その後、一緒に加工食品も販売しながら食品卸企業として成長してきた経緯があるからだ。

 21年、日本アクセスの田中茂治社長になってから、「乾物は日本の大切な伝統食。ビタミンやミネラルが豊富で栄養価が高いということをもっと食育として伝えていく必要がある」として、22年にはもともとあった乾物乾麺課に加え、乾物乾麺販売促進課をつくり、量販店や外食向けに商品提案するための乾物の勉強会を社内外で実施してきた。

 同社加工食品MD部長代行兼乾物乾麺課長で“かんぶつマエストロ”として講師も務める西潟修治氏は、「当初は社内外含めても“乾物”に対する理解が不足していて、説明するのが大変だったが、現在は愛着をもって取り扱ってくださる取引先も増えている」と話す。

 その背景には、量販店のバイヤーと実際に各地の生産現場に行き、乾物が作られる加工工程を見て、体験して、原料の詳細な情報を得るという地道な活動があり、それが売場にフィードバックされ、奏功しているからだ。

「乾物でイタリアン」乾物のよさで食が豊かに

日シェフによる乾物の料理教室

日髙シェフによる乾物の料理教室

 同社設立20周年企画で、乾物を使ったイタリアンメニューによる食育料理教室に取り組んでいた有名シェフ・日髙良実氏。同氏監修による乾物レシピ「おうちで乾物イタリアン」が今春に販売され、異色のイタリアンとの組み合わせが話題を集めていることも大きな力になっている。

 西潟課長は「共働き世帯も増え、女性の社会進出などにより、時間をかけて料理を作るというのは時代と逆行していると思われがちだが、それでも乾物のよさを知ることで、食が豊かになると思う。

 利益を重視する量販店での取り組みは難しいかもしれないが、魚などの生鮮3品と調味料を買う人は乾物(ダシ)も買っていくし、量販店にとってはよいお客さんのはず。

 乾物が実はお店の売場のキーワードであることを丁寧に伝えていくことが、われわれの役目」と話している。乾物の販売を強化している企業は「乾物は生鮮3品と密接なつながりがあり、お店にとっても関連販売をしていくのに非常に重要な商材!」というコメントも寄せており、保存性が高く、栄養価も高い万能食品である乾物を従来の売り方にとらわれず、いかに消費者にアピールするかを考えるのも、生産者にとって大事なことかもしれない。

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