よりおいしくなった!? ホンビノス

鋤簾を使い水深3~4メートルの海底をかいて獲る

鋤簾を使い水深3~4メートルの海底をかいて獲る

 東京湾で獲れたホンビノス貝の流通が始まって10年が過ぎた。北米原産の外来種で、当時は「硬い」と毛嫌いした人もいたという。だが「ホンビノスがうまくなっている」と唱える声が増えてきた。世代交代を繰り返す間に、東京湾の環境に適応したのだろうか。生産量日本一の千葉県・JF船橋市漁協を訪れた。

10年前と何が違うか

千葉ブランド水産物に認定された

千葉ブランド水産物に認定された

 20年ほど前に東京湾で発見されたホンビノスはなじみがなかったうえ、在来種のアサリが漁業の主力だったことで、流通には時間がかかった。船橋市漁協での扱いは2007年度から。冬場の低水温や青潮が発生するとアサリの漁獲量は激減する。その代替としてホンビノスの出荷が検討された。松本好司専務が「陸でアルバイトを探していた漁業者もいた」というほど、アサリ生産量の不安定さは、貝漁業者の経営を揺るがしていた。

 07年度の193トンに始まり、以降の生産量は右肩上がりに増えている。15年度は1000トンを超え、17年度は1676トンに達した。アサリに比べホンビノスは青潮に強く、周年漁獲ができるため品切れしにくい。安価な点も好評な理由だ。

 もちろん、味のよさも前提にある。昔は「硬い」「えぐみがある」と評価する漁業者もいたそうだが、松本専務は「あくまでも感覚の問題」と前置きしたうえで『昔よりおいしくなった』と話す漁業者もいる」と話す。

 一つにホンビノスが東京湾の環境が影響し、北米産よりも軟らかくなった「日本種化説」がある。ホンビノスは海外からの船体に付着、あるいは船舶がバランスを保つため重しとして取り込んだバラスト水に混ざり、東京湾に定着したと推測されている。大阪湾でも生息するが、そのほかの港での発見は乏しい。

 ダーウィンの進化論「生き残る種とは最も強いものではない。変化に最も適応したものである」を引用すれば、ホンビノスは東京湾の環境に適応し、進化したとも考えられる。ただし、科学的な裏付けはない。

 貝類の仲買卸業者・かねはち水産(株)の内海金太郎代表は、「漁獲圧の低い流通初期は大型個体も多く、貝の足の部分も分厚かった。それが『硬い』という表現になったのでは」と考える。好みにもよるが、小さい貝の方が軟らかく食べやすい。「大きい貝は刻んでかき揚げにするとおいしい」と教えてくれた。

固定概念捨て今の味を

 原産地の米国東海岸でホンビノスは、クラムチャウダーやワイン蒸しなどに調理して食される。アサリほどの砂抜きは不要で、ハマグリよりも日持ちするという。粒が大きくて味が濃く、鍋に入れればよいだしが出る。ただし、火を通すと身が硬くなりやすいため、貝の口が開いたらすぐに食べるのがお勧めだ。

 17年には千葉県が全国に誇れる県産水産物に認定する「千葉ブランド水産物」に選ばれた。東京湾北部の船橋市や市川市沖に広がる干潟・三番瀬で獲れる5・5~7センチサイズが対象で、外来種であっても千葉県を代表する水産物に認められた。

 20年前、突如姿を現した貝を目にして、心理的にマイナス要因を感じた人も少なからずあっただろう。ただ、ホンビノスに悪印象をもったまま、食べることをやめてはもったいない。改めて今の味に挑戦してほしい。

自主規制で資源を管理

 船橋市漁協で「漁獲量が右肩上がり」とはいえ、むやみやたらに獲るのではなく、自主規制を徹底している。操業時間は午前5時から11時まで。貝をかく鋤簾(じょれん)は、木製の棒の先につく金属かごの目合いを25ミリにしている。アサリや小型ホンビノスを混獲しないためだ。

さまざまな料理に利用できるホンビノス

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シンプルにゆでる

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殻から身を外して揚げたフライ

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ボンゴレには殻が大きい。身だけで作ると食べやすい

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ゆで汁に含まれるだしを利用した炊き込みご飯

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米国東海岸で一般的なクラムチャウダー

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バーベキューには焼き貝が似合う

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