Vol.52  その塩分大丈夫? 食品業界では減塩の動き

塩味や風味はそのままに減塩水産品はどこまで市場が伸びるか

塩味や風味はそのままに減塩水産品はどこまで市場が伸びるか

 世界の中でも塩分摂取量が多いといわれる日本人。生活習慣病予防のために最近では塩、醤油、だし、味噌以外にインスタントラーメンのような加工食品まで塩分カットの食品が出てきている。水産物のうま味を引き出したり、保存性には欠かせない塩分だが、水産業界では減塩に対する取り組みがどの程度まで進んでいるのか、今後、塩分カット食品はビジネスとして広がりをみせるのか、最近の塩分事情をのぞいてみた。

ニッスイは塩味増強技術を構築

食塩の摂取量は徐々に下がってはいるが、日本人としてはまだ高め

食塩の摂取量は徐々に下がってはいるが、日本人としてはまだ高め

 WHO(世界保健機関)では一日当たりの摂取量を5グラム未満で推奨しているが、実際には2倍の10グラム程度を日本の男女ともに摂取しているといわれている。

 厚生労働省は昨年3月、生活習慣病(高血圧)の予防を重視し、ナトリウム摂取量の目標量をこれまでの数値から、18歳以上の男性は8グラム未満、女性は7グラム未満に下げ、摂取量を減らすことを促している。

 このような動きと相まって、食品業界では減塩の動きが徐々に出始めている。塩分と切っても切れない関係の水産業界ではどうだろう。水産物ではあまり多くを見掛けないのが実情のようだ。

今春大幅にリニューアルした「美味塩技シリーズ」の「塩紅鮭」

今春大幅にリニューアルした「美味塩技シリーズ」の「塩紅鮭」

 その中でも日本水産は、平成20年から中央水研が主体となって「ビン詰サケフレーク」を皮切りに技術開発を重ねてきた。塩分をカットしても、飲食品の塩味や風味を損なわない技術として、少ない塩分量でもしっかりと塩味を感じさせる“塩味増強技術”を構築し、24年には「美味塩技(おいしおわざ)」シリーズでベニザケや魚卵などの商品を発売した。

 この時はカツオ・大豆タンパクエキスとアルギニンの組み合わせだったが、“不快味を改善”するためにパセリエキスを使って今春から大幅にリニューアルした。

 「塩分カットと書いてあるので購入したのに塩辛いというクレームがくることがある。それはある意味うれしいこと」(水産食材事業部)と、同社が塩味や風味を損なわない技術として意図したことが実際にそのようなクレームで証明されたことにもなる。「まだ時間はかかるかもしれないが、確実に塩分カットの市場は広がると思う」と期待を寄せる。

一正蒲鉾は減塩商品を拡充、変わる表示に商機あり

減塩商品の一例

減塩商品の一例

 ねり製品の世界でも減塩の商品が増えている。

 新潟のねり製品メーカーの一正蒲鉾は、約5年ほど前から減塩商品を展開。現在では、板カマボコをはじめ、チクワ、さつま揚げ、カニ風味カマボコなど、さまざまな商品で減塩商品を揃えている。

 「ねり製品は塩分が高めのイメージをもたれやすい。国も健康寿命の推進を図っていることから、減塩に着目し、商品を拡充してきた」(同社)という。また、売場展開でも量販店の店頭でスポット的な減塩コーナーを提案し、自社で販促ツールの作成なども実施している。

 食品表示もナトリウムから食塩相当量へと変わることから、「これから減塩商品はさらに注目される。量販店もコーナー化し、販売する動きも出てくるだろう」とみている。

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