Vol.70  「落語で食育」にヒントあり

なかなか興味深い「落語」と「食育」

なかなか興味深い「落語」と「食育」

 「落語」と「和食(食育)」では、一見接点がないようにも思えるが、冷凍鍋焼うどんで有名な(株)キンレイが両方の切り口から、興味深い取り組みをしている。落語の中には、魚が登場する噺(はなし)は数多くあるが、いってぇぜんてぇ、どんな取り組みなのか、ちょいとのぞいてみやしょう。

学生落語家とタッグを組む

飯喰亭鯖寿司君(左)と志家ばーにいさん

飯喰亭鯖寿司君(左)と志家ばーにいさん

 「権助魚」という噺は、旦那の浮気を怪しむ奥さんに小銭で買収された権助が、さらに旦那に買収されて、「旦那は知人と芸者をあげてどんちゃん騒ぎし、隅田川で網打ちしたのがこの魚だ」と示したのが、隅田川で揚がるはずのないニシンやスケソウ、おまけに加工品のメザシやカマボコまで出してきたことで嘘(うそ)がばれるというオチ。

 日本大学文理学部4年生で落研所属の“飯喰亭 鯖寿司”こと今村義一さん。先月、この噺を東京・八王子にある老人ホーム「さくらの郷中野山王」で披露、プロ顔負けの本格的な噺に、職員らも一緒になって大きな拍手を送った。小さい頃から、落語に慣れ親しんでいたという鯖寿司君は、大学生が落語を競う全国大会「てんしき杯」で準優勝の経験者でもある。

素材から徹底的にこだわった商品を紹介する和田博行社長

素材から徹底的にこだわった商品を紹介する和田博行社長

 次世代を担う学生落語家(14大学40人)とタッグを組むことで、出張落語会などを通じて伝統文化の継承を目指すキンレイ。同社が扱う鍋焼うどんと落語は、いずれも江戸時代に誕生、人々の暮らしに根差し、発展してきた共通項がある。キンレイではこれを、心に染みる本物の文化と味という意味で「キンレイ心染(しんせん)プロジェクト」と銘打って、今年で3年目を迎えた。

次世代を担う子供たちに継承

 その舞台裏を強力に支えているのが事務局スタッフの管理栄養士である長谷川茉美さん。今では小学校で食育の出前授業をやるまでになり、「学校教育に入れたことは、次世代を担う子供たちに落語を通して和食を継承していくという同プロジェクトの大きな目的であり、次のステップに入ったと感じる」と感慨深げ。このプロジェクトは現在、1都3県で進められており、本場関西のキンレイのうどんを関東圏にももっと広めるという大事なミッションも担っている。長谷川さんは「学生にとって社会経験の場とするだけでなく、関わることが一つのステータスになるようなプロジェクトに育てることも自分の役目」と話す。

心染プロジェクトを進める長谷川さん

心染プロジェクトを進める長谷川さん

 来年、就職先が決まっているという鯖寿司君。「社会人になっても、何かしら伝統文化である落語には関わっていきたい」と学生の心にもしっかりと染みているようだ。

 おあとがよろしいようで。

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